みずほ証券 行政処分の影響度
国際競争力への危機感から金融審で議論が本格化
折しも首相の諮問機関である金融審議会では、日本の金融・資本市場の競争力強化の観点から、銀行と証券の間のファイアウォール規制(いわゆる銀証分離規制)のあり方について、本格的な議論が始まろうとしている。
米国では銀行による証券業務が証券投機や不公正取引を招き、銀行倒産などの原因になったことから、1933年のグラス・スティーガル法で銀行の証券業務を厳しく制限。米国の規制を参考にした日本も戦後、旧証券取引法65条(現金融商品取引法33条)で銀行の証券業務を原則禁止した。その後、日本では93年施行の金融制度改革法で、役職員の兼職規制や非公開情報の授受を禁止するファイアウォール規制をとる代わりに、業態別子会社方式による銀行と証券の相互参入が解禁された。しかし、米国は対照的に、99年のグラム・リーチ・ブライリー法で銀行と証券の垣根を撤廃した。
欧米に比べて銀証間の垣根に関する規制が日本では厳しいうえ、東京市場のグローバル競争力に対する危機感もあり、経済財政諮問会議の専門ワーキンググループは今年4月、「国際的に金融コングロマリット化が進む中、わが国の銀証分離などの業規制はなお不十分、不透明な面が少なくない」などと指摘。銀行と証券にかかる規制の見直しを提言した。ファイアウォール規制見直しを含む「金融・資本市場競争力強化プラン」を今年中に策定するため、金融審では早ければ11月下旬にも、ファイアウォール規制の議論が本格的に開始される見通しだ。
みずほ証券の事例では非公開情報の授受違反が問われたが、顧客が実害を受けたわけでなく、顧客からの苦情もないという。実害がないため、規制の必要性が見えにくい事例だったともいえる。「実害が起こらないための手だてが制度改正で別途できれば、規制の意味も変わってくるかもしれない」(金融庁幹部)という意見もある。金融審が今後どのような議論を行うのか、注目される。
(撮影:尾形文繁)
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