納得!「天気のことわざ」が意外と当たるワケ 「飛行機雲が広がると雨」には根拠がある
山にかかる雲から天気をある程度予想することもできます。山に向かって暖かく湿った風が吹くと、風は山にぶつかって強制的に上昇します。すると、その風に含まれる水蒸気が上空で冷やされて小さな水の粒になり、雲ができます。つまり、山にかかる雲を見れば、その山に向かってどこからどのような風が吹いているのかがわかるのです。
たとえば、富士山の山頂に、編み笠のような形をした「笠雲」がかかることがあります。これは近いうちに天気が下り坂になるサインと言われており、的中率も高いことで有名です。この笠雲は、富士山に向かって吹き付ける暖かく湿った風が山頂を超えることで発生します。その風は接近しつつある低気圧から吹くことが多いため、天気が崩れやすくなるのです。
もうひとつ、岡山県北部の那岐山麓では、「広戸風」という強風が吹くことで知られています。この風は日本三大局地風と呼ばれ、ときには風速が50メートルにも達し、田畑や家屋に甚大な被害を及ぼします。広戸風の前兆とされているのが、風枕と呼ばれる雲です。
これは、那岐山の山頂を覆うコッペパンのような形状の雲です。強い広戸風が吹くときは、台風や低気圧などがある経路を通ったときだということが明らかになっていますが、このとき、低気圧などから吹く風が山にぶつかって風枕ができます。そして、風は地形の影響でさらに強められ、広戸風としてふもとに吹き下ろすのです。
「夕焼けは晴れ」とは限らない
天気予報のことわざはよく当たるのですが、「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」ということわざに関しては、そこまで単純ではありません。特に春や秋は低気圧と高気圧が交互に並んで西から東へと移動することが多いので、夕方に西側の空が晴れることで見える夕焼けは翌日も晴れる可能性が高く、東側の空が晴れることで見える朝焼けはその日の天気が崩れる可能性が高いといわれているのですが、必ずしもそうとは限らないのです。
まず、空の色は太陽の光が大気中の水蒸気やちりにぶつかり、あちこちに散らばることで決まります。これを散乱といいます。このとき、波長の短い色のほうが強く散乱される傾向にあります。色の波長は、虹色の赤に近いほうが長く、紫に近いほうが短いです。紫色は波長が一番短い色ですが、太陽の光が空気中を通るときに散乱されすぎてかえって光が弱くなってしまいます。
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