大谷翔平の「二刀流」を支える脳のカラクリ 分業が当たり前の投打を両立できるすごみ

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そこに登場したのが、大谷選手です。今季は、投手では10勝4敗、防御率1.86。打者では、打率.322、本塁打22、打点67。コンディションにも配慮した起用だったため、規定投球回数、規定打席数に達しないものの、達していれば防御率はリーグ1位、打率も2位という、ハイレベルな記録を残しました。さらに驚くべきは、投手として登板した試合でも打席に立ち、ホームランを打つといった「リアル二刀流」を実践し結果を出している点です。

脳には、「同時並行脳」と呼ばれる、複数のことを同時並行で行ったり、情報を高速で処理したり、俯瞰的に物事を多方面から見たりする能力があります。この「同時並行脳」をつかさどる右脳は、1つひとつのことを順番に直列的に処理していく左脳に対して、やるべきことを、同時に、一気に処理する全体処理にすぐれています。一般的に、器用といわれる人の多くは、この「同時並行脳」による処理が行えている人です。

スポーツ、特に団体競技では、さまざまな状況を判断して瞬時に決断をくだすため、この「同時並行脳」が鍛えられます。すなわち、投手であれば投手としての「同時並行脳」、打者としては打者としての「同時並行脳」が発達するわけですが、大谷選手の場合、1試合の中で、投打というまったく正反対の役割を同時にこなし、それぞれで高いパフォーマンスを発揮しています。筆者から見て、大谷選手は本人が意識しているか否かは別にしても、この「同時並行脳」が極めて高いレベルにあるように見えます。

大谷の「同時並行脳」が進化を続ける理由

ここからは一般的な話となりますが、「同時並行脳」のレベルの高低は、「脳の容量」に比例し、それは鍛えることも可能です。トレーニングすれば、脳の情報処理の仕方が、「1つひとつを個別で」判断する左脳優位のものから、全体を俯瞰しながら「複数のことを同時に」判断する右脳的なものへと切り替わっていきます。

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「同時並行脳」は、経験を積むなど、数をこなすことによって伸ばすことができる力です。野球では、アマチュア時代、大谷選手のように投打で鳴らすプレーヤーは少なくありません。ですが、プロ入りする際には、ピッチャーかバッター、どちらかに専念するのが「常識」です。

そうすると、その時点では投手・打者両方の「同時並行脳」にすぐれていたとしても、やがて「使わない方の脳」は退化していきます。大谷選手が「二刀流」を実現できているのは、本人の才能や努力によることが大きいでしょう。その一方で、入団以来「二刀流」という機会を与え続けている、ファイターズという球団の環境も、大谷選手の「同時並行脳」が進化を続けている重要なポイントだと思います。

山岡 尚樹 「超脳トレ」全脳活性プロデューサー 

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やまおか なおき / Naoki Yamaoka

(社)新脳力発見育成協会 代表理事 人の脳に秘められた潜在能力を音やイメージや気や倍音声を使った実践ワークで引き出し、さまざまな願望を叶える「超脳トレ」全脳活性プロデューサー。元七田チャイルドアカデミー右脳開発プロデューサー。最新の脳科学と古今東西の能力開発法を統合した「超脳トレ」セミナーは、約20年間で10万人以上が受講。

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