不透明な利益を得る広告代理店にもの申す マスターカードのメディア責任者の怒り
――広告主は監査を行う権利をもつべきでしょうか?
リサーチ会社のK2インテリジェンスが明らかにしたように、起こっていることの多くは、エージェンシーレベルで起こったのではない。親会社レベルで起こったり、子会社が原因で起こったりしている。私たちは、全体の状況を監査できる能力を備える必要があるのだ。
重要なのは、自分たちにどのような権利があるのかを理解することだ。なぜなら、一緒に仕事をしているエージェンシーからはっきり見える場所に、その親会社や子会社がいることはないからだ。
――「Lumascape(ディスプレイ広告の業界地図[カオスマップ])」については、どうお考えですか?
あれほど多くのプレイヤーがいる必然性はない。その複雑さには困惑するばかりだ。だが、儲ける機会を得るために物事を複雑にしようとする人たちがいる。Lumascapeの図を見るのに、私はひと晩かかってしまったが、この図には5つのグループがある。デジタル向け、ソーシャル向けといった具合にだ。私たちはこれを単純化する必要がある。
透明性に欠けるのは誰の責任?
――透明性が欠けていることについて、責任は誰が負うべきでしょうか?
これは非常に大きな問題なので、責任を負うべきは、マーケターも含め、そこらじゅうに大勢いる。私はカンヌで、当時モンデリーズ・インターナショナルにいた同業者のボニン・バウ氏とパネルディスカッションを行ったことがある。そのときの話題は、メディアの経験が豊富な人材が十分にいないという問題だった。
何が起こっているのかを理解できる人材を十分に揃えていないのは、マーケターの責任だ。ただそのあたりに座って「ああ、それはエージェンシーの責任ですよ」ということなどできない。なぜなら、それは真実ではないからだ。それにフェアでもない。
――しかし、エージェンシーは、あなたたちが公平に報酬を支払ってくれないからだというでしょう。
エージェンシーは公平な報酬をもらうべきだ。エージェンシーからありとあらゆる利益を搾り取るべきなどという人は、誰もいない。
だが、私たちは、つまり業界はそのようなことをしている。支払期限を延ばしたり、彼らへの支払額を圧縮したりといった方法でだ。残念な話ではあるが。そこで、エージェンシーたちはやり方を変え、これが利益を上げる方法なのだと言ったわけだ。