不透明な利益を得る広告代理店にもの申す マスターカードのメディア責任者の怒り

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――エージェンシーに同情しているのですか?

もちろんだ。彼らは利益を搾り取られてきた。それに彼らは公開会社であり、株主を抱えている。一部のマーケターが、支払期間を180日に設定しようとしたときに、私が同情するかといわれれば、答えはイエスだ。しかし、だからといって、クライアントに気づかれないやり方で、お金を儲けるそのほかの方法を見つけ出す権利がエージェンシーにあるのかと言われれば、答えはノーだ。

問題だと認めるようになれば、解決策が出てくる

――リベートについてはどのような意見をお持ちですか?

リベートは問題ではない。リベートが存在するのは事実であり、この国のメディア業界がいままでこのことを問題視したことはなかった。人々がこれを問題だと認めるようになれば、解決策が出てくるだろう。

相手がいくら儲けているのかわからないのに、公平な報酬を支払うことは困難だ。したがって、こうしたメディア契約で不透明な利益を得ているエージェンシーに公平な報酬を支払うことは難しいのだ。

――マスターカードが最優先に取り組んでいることは何でしょうか? 契約交渉をしなおすことですか? それとも監査役を雇うことでしょうか?

JPモルガン・チェースなど、自社の取り組みを公表しているマーケターは多いが、私たちはそうしたことを明らかにするつもりはない。そんなことをしても誰のためにもならない。

私たちはエージェンシーを信頼しており、彼らと良好な協力関係を築き、ともに仕事をしている。そのような話をすることに価値があるとは個人的に思えないし、会社としても詳細を語る予定はない。なぜなら、それは微妙な問題であり、パートナーに対してフェアな行為でもないからだ。

――つまり、話をすることはできないが、改善策を実施しているということですね?

マスターカードはANAの調査結果を支持している。抑制と均衡を図るための通常の取り組みとして、エージェンシーの会計監査は常に実施している。これは長年やっていることで、今後も続けていく予定だ。

何らかの監査を行っていないマーケターがいるなどとは、私には想像もできない。監査を行う権利を獲得し、K2が明らかにしたような何らかの証拠を見つけるために詳しい調査を行う機会は、目の前にあるのだ。

Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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