マルハン社長、「太平洋クラブ」獲得の真意 アコーディア流の低価格ゴルフ路線は採らず

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――「創る会」の結成は昨年10月、それまで太平洋クラブの支援を検討していなかったのか。

昨年1月に民事再生手続きが申し立てられた時点で、「太平洋クラブ会員の権利を守る会」「太平洋クラブ被害者の会」といった会員組織が立ち上がった。当時、会員の皆さんは(アコーディア以外に)期待できる有力スポンサーを探していた。その一環として、昨年の初夏に声をかけていただいた。当社の側から、太平洋クラブに興味があると発信していたわけではない。あうんの呼吸だろう。

――アコーディアは低価格・カジュアル路線でゴルフ場経営を行っている。その分、会員がいるコースでも、ビジターを詰め込んで混雑しがちだという評判もあるが、ビジネスとしてはもっともな面もある。一方、太平洋クラブの会員たちの主張は、おカネを出して助けてほしい、でも、自分たちの権利を守ってハッピーなクラブライフをある程度保障してほしいという内容で、「虫のいい」話にも聞こえる。

太平洋クラブは今の路線を磨き上げる

カジュアル路線でプレー代が安くなり、ゴルファーの裾野が広がるのは、ゴルフ業界にとっては大きな貢献だ。とはいえ、飲食業でも、居酒屋などが低単価になっていくのは顧客にとってはありがたいことだが、反面、それなりのステータスを持ち、予約が取りにくかったり、1食3万円もするようなレストランに、ニーズがあったりする。

太平洋クラブには太平洋クラブの位置づけがあり、それが崩れることに「NO」という会員の皆さんがいる。われわれはその位置づけをきちんと維持し、さらに磨き上げていく。そこには非常にニーズがあり、安定的な事業として成り立っていくと思う。「(会員の主張をすぐに)はいはい、わかりました」ということではなく、しっかり検証したうえで、そうしたニーズが存在しているとの判断の下に、ひとつずつ詰めていったということだ。

――ゴルフ業界には「2015年問題(高齢化に伴うゴルフ人口減少問題)」もあり、先行きが厳しくみえる。にもかかわらず、マルハンのような異業種からみると、縮小マーケットとはいえ、改善の余地があり、ビジネスとして魅力的ということか。

パチンコ産業も同じで、この20年近く、30兆円産業から20兆円産業へと縮小してきた。しかしながら、そこにはやるべきことがたくさんあり、マルハンは業界が縮小する中でも成長してきた。外からは、パチンコ産業も縮小産業でどうしようもないと見られているが、これはパチンコとかゴルフとかを問わず、レジャー産業そのものが縮小しているということだ。それでも、改善の余地はまだあるじゃないかというのが、われわれの見方だ。

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