「求む、ガリ勉!」アメリカの大学のやり方

トップスクールが実践する極めて合理的な選抜の方法(前編)

ちょうど今年は、大学院入試選抜の仕事――僕にとっては初めての――をした。日本人の内向き志向に直接、何をというわけではないが、国内での一般的な進学を考えるにも、留学を検討するにも、アメリカの大学院でどんな選考が行われているかを知っておくことは、きっと無駄にはならないだろう、と期待しつつ、選考に携わっての経験をここに綴りたい。

ちなみに、アメリカで教授陣が実際にかかわるのは大学院の選考だけだ。学部の選考はアドミッションオフィスという別の部署が一手に行っている。この点は、教員が試験問題を作ったり採点をしたりする日本の大学と比べるとずいぶん分業が進んでいる。

……というわけで、僕の話はスタンフォード大の経済学部大学院という特定の大学院での経験に基づいたものであることをあらかじめ断っておく。

また、ここに書いていることはあくまで僕個人の意見であって、学部や大学の公式見解ではないこともお断りしておく(「学部の方針がこうだ」と書いているところについては、僕はそうだと思っているのでそう書いたのだけれども、解釈や誤解が入っている可能性はある)。

大学ごとの筆記試験なし、共通試験と書類のみで選ぶ!

経済学部大学院の入試において日本とアメリカで最も異なっているのは、おそらく、アメリカでは(ほぼ)大学固有の筆記試験が行われず、選考は書類のみによる、というところだ(ビジネススクールなどではインタビューがあるのが普通だ)。

たとえば僕がアメリカに来るまで在籍していた東京大学経済学部の大学院では、1次試験が経済学の筆記、2次試験が面接だった。対して、スタンフォードを含むほとんどのアメリカの大学院入試では、学生は書類提出を済ませさえしたら、あとは通知を待つのみだ。

送付すべき書類は、大学の成績表、GREという全国共通試験の結果、英語試験TOEFLのスコア(外国人の場合)、そして推薦状で、多くの大学ではこれらに加えて志望理由を述べたエッセイのようなものも提出する。

全国共通試験のGREには数学、英語と作文があるが、数学はびっくりするくらい簡単で、レベルは日本の平均的な高校の期末試験くらいのイメージでほぼ間違いがないと思う。

英語は外国人(少なくともほとんどの日本人)には難しすぎて、完全に意味不明だ。たとえば、「この単語の同義語を次の4択から選びなさい」という設問では、問題文の単語も4択のどの単語も、すべてわからなかったりする(確かある日本人の先輩は、「問題文も選択肢も全部「魑魅魍魎」って書いてあるみたいな感じ」と表現していた)。

最後の試験科目である作文、Analytical Writingに至っては採点基準もよくわからず、ここから得られる情報の量は選考する側としても非常に少ない(少なくとも僕は選考でこの点数を参考に応募者への評価を下した覚えがない)。

3科目見てもこんなふうなので、日本とは違って、筆記試験以外の書類が大きな重要性を持ってくることになる。

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