サムスンは「スマホ爆発」を防げなかったのか 期待の新モデルはわずか2カ月で姿を消した

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事故の背景には王者の焦りもありそうだ。

Noteシリーズに代表される大型スマホは、PhoneとTabletを合わせた「ファブレット」と呼ばれる。サムスンが市場を切り開いてきたサイズだ (Samsung Newsroom)

サムスンにとってスマホは、全体の売上高の5割(約9兆円)を占める基幹事業。ただ、近年は市場成長の鈍化に加えて、ファーウェイやシャオミなど、中国の新興メーカーが猛追している。

低価格帯を攻める中国メーカーに対し、サムスンはNote7に代表される高価格帯を強化してきた。だが、ピークの2013年に約2.5兆円あった事業利益は15年に約9100億円に落ち込んでいる(スマホ事業を含むIT・モバイル通信事業)。

Note7については、9月に発売された米アップルのアイフォーン7より先に発売するために開発を急いだとみられ、一連の焦りが事故を引き起こしたともいえよう。

副会長の手腕が問われる

「サムスンは半導体や有機ELパネルをスマホメーカーに納めている。ほかのメーカーに需要が移っても(電子部品の利益が過半を占めるため)全体に与える影響は深刻ではない」(ソウル大学校ビジネススクールのソン・ジェヨン教授)との声もある。

ただ今後、発火事故が相次いだモデルを携帯会社や消費者は受け入れるだろうか。原因究明はもちろん、販売戦略の見直しやブランドの再構築も必須の課題だ。

サムスンは2014年に李健煕(イゴンヒ)会長が倒れて以来、創業家3代目の李在鎔(イジェヨン)副会長が指揮を執っている。経営権の継承を進める中、難局を乗り切れるのか。在鎔氏の手腕が問われそうだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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