かつての資源エネルギー庁「太陽光発電の新たな買取制度について」によると、導入費用は「1kWあたり55万円」が目安だった。つまり、太陽光発電システム導入にかかる費用を算出する時に、ひとつの基準を「1kW55万円」と決めていた。実はこの目安は単に国の補助金から逆算したものであった。従って太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)から給付される補助金は、今もシステムの導入価格が1kWあたり55万円以下に限り、交付されることになっているのだ。
価格が劇的に下落した理由は中国サンテックの倒産
昔(1993年当時)の太陽光発電システム導入費用は、1kWあたり370万円もしたものだ。だが、太陽光発電システムの技術革新の結果、導入費用は年々減少していった。それにあわせ、補助金交付の条件と上限価格も低下していった結果、2010年度は65万円以下、2011年は60万円以下となり、今や55万円以下で導入費用が交付されることになったのだ。そのコストが、いまや何と30万円近くまで安くなってきている。安倍内閣の誕生以来、円安が25%も進み、全ての輸入価格は高くなっているにもかかわらず、だ。
ソーラーパネルの輸入価格だけはまだ低下傾向だ。最大の理由は中国の過剰生産により、同国のサンテック社が米国のアンチダンピング税制(AD)に引っかかり、ついに倒産の憂き目にあったことだ。これで中国のソーラー業界の在庫が積み上がり、安値廉売が唯一ソーラーブームに沸き立つ日本市場に向ってきたのだ。数年前なら2ドル/kWもしたシリコン系のモジュールが今や0.7~0.8/kWまで値下がりしている。昔はジャパンプレミアムが公然と存在し、何でも対日輸出価格は国際価格よりも割高だった。ところが事情は激変しつつある。
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