米政府高官たちの不満
水面下では、日米両国政府の間で緊張が高まっている。先月、米国国務省は在ワシントン日本大使館の高官を極秘に呼び出し、「歴史」問題をめぐる論争の高まりが原因で、地域の安全保障に悪影響が出かねないという懸念を表明した。
アシュトン・カーター国防副長官は、幾度にもわたり、尖閣諸島をめぐる日中間の対立の「軍事化」を警告してきた。警告の矛先は、日本政府にも、中国政府にも向けられている。
米軍高官のトップ、マーティン・デンプシー米軍統合参謀本部議長は近ごろ、日韓両国の防空システムを高く評価したが、日韓両国の間でこの極めて重要な地域において協力関係がほとんど完全に欠落していることに、不満を表明した。
オバマ大統領は、朴大統領が最近ワシントンを訪問した際には共同記者会見に臨み、朴大統領が、安倍政権下の日本は歴史について無用な見解を抱いている、と批判するのを直接聞いた。またオバマ政権は、朴大統領のために両院合同会議でのスピーチをお膳立てした。両院合同会議でのスピーチは、米国の最も緊密な同盟国だけに認められる名誉だ。朴大統領はスピーチの中で、最近の日本の政策の方向性を批判した。
米国政府の高官は、韓国の外交相が予定していた東京訪問を取りやめたことにひどく失望した。また、日本政府との緊張が原因で、朴大統領が東京よりも先に北京を訪問する日程を組んだことを懸念している。
オバマ政権は、米国のグローバルな軍事方針をアジアへと「リバランス」するという立場を維持している。アジアへの戦略シフトは常に、日韓両国間の互恵的な安全保障関係をその一環として想定し、基礎としてきた。
米国政府関係者にとって非常に残念なことだが、安倍首相はこれら構想にとって障害となってしまった。この問題は解決されるのか、それはいつになるのか、定かではない。
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