米国「シェール」輸出解禁、本命は大阪ガス 安価に原料調達、ガス発電にも大きな武器

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もちろん大阪ガスは手をこまぬいてはいない。同社は1990年にインドネシアで日本のガス・電力事業者としては初めてガス田権益を取得するなど、早くから海外の上流権益投資に積極的であり、オーストラリアなどの大型プロジェクトにも投資している。

上流権益に参画していれば、ガス価格が上昇した場合にも、ガス田権益からの収益が増えてリスクヘッジの効果が得られる。現在は自社権益分からのLNG調達額を今後の生産開始分も含めて80万トンまで積み上げているが、2020年度には150万トンにまで増やす方針だ。

シェールに初の直接投資も行い、今期から利益貢献

米国でも、すでに昨年6月には同じく米国テキサス州のピアソール・シェールガス・オイル開発プロジェクトに参画。これは日本のエネルギー会社としては初めての、シェールガスに対する直接投資であり、LNG換算で年間25万トン相当の権益を取得済みだ。

この米国でのガス、原油の生産販売については、前2013年3月期は収益均衡だったが、今14年3月期には早くも「利益貢献を強めてくる」(大阪ガス)という。

今回の米エネルギー省の輸出解禁は、「グローバルなエネルギー・環境グループ」の実現を2020年の目標として掲げる大阪ガスにとって、大きな一歩となりそうだ。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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