ホンダのF1復帰、エコカーとの意外な関係 ターボ+モーター、“究極のHV”を探る
F1は2014年シーズンから、レギュレーション(規定)が変更され、エンジンの排気量は1600ccと現行の2400ccから大幅にダウンサイジングされるとともに、少ない燃料で走ることなどが求められる。ホンダにとってのポイントは、新規制ではエンジンにターボチャージャー(過給機)が付き、エネルギー回生システムが採用されることだ。
エネルギーを無駄なく活用する仕組みを導入
エネルギー回生システムは、エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド車(HV)で使われている。簡単に言えば、ブレーキの制動力をモーターの動力に換えて、無駄なくエネルギーを活用する仕組みである。
ホンダはトヨタ自動車と並び、HV技術で世界的に先行しているが、今回のF1参戦では、将来の“究極のHV”ともいえる技術を目指すことを想定している。それはエネルギー回生システムとターボ、つまり、HVのキモとなるモーターとターボの組み合わせだ。
これを詳しく解説する前に、エンジンの基本的な仕組みをおさらいしておこう。エンジンは燃料と空気を混ぜた混合気を内部に吸い込んで、圧縮した後に爆発させる。これが自動車の動力になる。
ターボは、エンジンにより多くの空気を送り込むための機構である。小さい排気量でも大きな出力を得られる。自動車メーカーがパワー競争に走った1980~90年代などは、ターボといえば、莫大なパワーを追い求めるために使われていたが、実は燃焼効率を高められ、燃費の向上に役立つ。
というのも、ターボとはそもそも、捨てる排気ガスを活用するからだ。たとえば、「メルセデスベンツAクラス」など欧州車メーカーは、エンジンの小型化とターボの組み合わせによる、ダウンサイジングを進めている。