韓国大慌て、「ノート7がここまで酷いとは!」

サムスンが落ちた「リコール10倍の陥穽」

こうした中でサムスンがすぐにやるべきことは何か。まずは、ギャラクシーノート7の欠陥原因を調査し、把握することに加え、リコールによるブランドイメージの悪化という最悪の事態をどう食い止めて改善するかが、喫緊の課題だ。

サムスンは2015年に、1997年のアジア通貨危機以降初めてとなる研究開発費削減と関連人材のリストラを行っており、これが今回の事態を招くきっかけとなったとの指摘も出ている。責任者の追及も必要だ。責任の所在究明が終わった後、年末に予定されているサムスングループ経営陣の人事異動にも波乱が起きる可能性もある。

韓国政府の対応にも批判の声

サムスンの対応に加え、韓国政府の対応にも批判の声が出始めている。リコールから生産中止まで、政府の対応が遅すぎる、との批判だ。

他の製品への悪影響も懸念される

米国政府は被害が報告された直後に原因調査に着手した。それと比べると、韓国政府の姿勢はあまりにも消極的だった。10月11日になってようやく新製品の使用・交換・販売中止を勧告したこと、前日にサムスン側との協議した後だったことも、批判の的だ。専門家らは、「ギャラクシーノート7の生産中止以降、残された課題は旧型・新型製品の100%回収。政府は今からでもスピードを上げるべきだ」と口をそろえている。

リコールを管掌する国家技術標準院は、10月11日にサムスン電子水原(スウォン)事業所の現地調査を行った。新たな欠陥を確認した同院が、10月1日にソウル市内の一般家庭で発生したギャラクシーノート7の発火事故などを調査するためで、事故発生後10日が過ぎてからの調査だ。10月5日に米サウスウエスト航空機内でギャラクシーノート7の発火事故が発生し、消費者製品安全委員会(CPSC)がすぐさま調査に着手したことと比べると、あまりにも遅い対応だ。

10月10日に生産中止を決定した後になって、安全性調査を本格化させたことも問題として指摘されている。安全性調査は事故調査とは違い、欠陥のない製品に対して安全性テストを行う措置だ。9月22日にリコールを最終承認した当時、国家技術標準院はメーカー側の原因分析(バッテリーの欠陥)をそのまま受け入れた。ところが10月になって新型製品に相次いで問題が発生してからようやく、調査に身を乗り出している。

国家技術標準院関係者は「特定品目に対する安全性調査は初めてであり、できるだけ早く行う」と述べた。だが、生産中止になったため、安全性調査を行う必要性はすでになくなっている。

専門家らは、リコールから生産中止までの過程において、政府側が主導権を握れないまま、メーカー側の意向に引きずられていると指摘する。前出のパク・チョルワン電子部品研究院元センター長は「国家技術標準院の製品安全諮問委員会の資質が問われる。政府の未熟な対処能力が事態を拡大させた」と指摘する。同院は「サムスンから新型製品のリコール計画書を受け、問題なく回収が行われるようにする」と述べているが、どこまで徹底できるか。今後の姿勢が問われることになるだろう。

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