メガバンク、「国債離れ」じわり 三井住友、アベノミクスで“方向転換"
実際に、三井住友FGにおける3月末の債券の保有残高は約24.5兆円となり、昨年9月末と比べて約6%減った。三菱UFJFG(3月末の国債の保有残高は約48兆円)、みずほFG(同・約30兆円)が、わずかながら増やしたのとは対照的だ。
一方で三井住友FGの株式の保有残高は同33.5%増えている。
「政権交代が予想されたころから運用スタンスを変えた。一言で言えばデフレからインフレ・ポートフォリオへの切り替え」と同社幹部は説明する。国債運用に代わって増やしているのは、株式のインデックス投資や為替デリバティブ、外債などという。「もはや国債投資だけに安住することはできない」(同)。
貸し出しは増えるか、銀行の“本分”問われる
アベノミクスの影響が強まる中で、今後は三井住友FGだけでなく、残りの2メガでも「国債離れ」が加速しそうだ。収益面からみて、金利上昇局面が続けば、国債の売却で利益を上げることが難しくなる。3メガは今2014年3月期については、そろって減益を予想する。その主な理由は、国債売却益の大幅な縮小だ。
次の焦点は、余ったお金をリスク資産の運用だけでなく、企業への貸し出し増加につなげられるかどうかだろう。特にポイントは国内融資の拡大だ。
三井住友FGの宮田社長は「設備投資など国内の資金需要ははかばかしくない」と話す。その中でいかに企業ニーズを掘り起こせるか。銀行の本分が問われる局面でもある。
(撮影:今井 康一)
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