「若い候補者=ネット選挙で有利」は幻想 選挙用HPは、国や地方自治体が管理の主体に

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ネット選挙に限っても、おカネを掛ければ掛けるだけ有利であることは、アメリカ大統領選挙において数十億円の資金がネット選挙に投入されているという事実に目を向ければ明らかです。

以上を踏まえると、ネット選挙の解禁により得られるメリットは小さく、逆に、候補者本人を装う「なりすまし」や、特定の候補者の落選を狙った中傷などが横行する懸念があるというデメリットの大きさを考えると、むしろ全体としてマイナスになってしまうのではないかとすら思ってしまいます。

東洋経済オンラインという、まさにインターネット上にて連載をしておきながら、こんなに夢のない主張をしていては、きっと皆さんに怒られてしまいますので、ここで建設的な提案をしてみたいと思います。

選挙用HPは、国や地方自治体が管理の主体に

選挙用のホームページを国(地方選挙では地方自治体)が作成し、選挙期間中はインターネット上においてはそこでのみ、候補者や政党が政策を発信できるようにすべきではないでしょうか?

国や地方自治体が責任を持って管理することで、なりすましなどの混乱を避けることができ、また、有権者が候補者のホームページを逐一探す手間が省けるのです。

さらに、国民からの声に基づいて作成した質問に全ての候補者が回答することにすれば、有権者はそのホームページを確認するだけで、自分の選挙区の候補者の名前や顔や経歴、そして政策等を知ることができるようになり、有権者にとって、そして候補者にとっても便利だと思うのです。

そんなこんなで始まったネット選挙。始まったからには、心配ばかりするのではなく、また、文句ばかり言うのではなく、少しでも良い方向へと導いていく必要があると思っています。

少なくとも、(実際はほとんど効果がないとはいえ)ネット選挙が始まったということがメディアで多く取り上げられることで、(たとえそれが幻想であっても)「何か政治が変わるのでは?」という希望が生まれ、これまで政治に興味がなかった世代が興味を持てば、投票率が多少なりとも向上することが期待されますし、有権者と政治家の意識を変える、何らかのきっかけになる可能性があります。

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