製薬会社の不法投棄がヤバすぎる菌を生んだ インドの湖が薬剤耐性菌の「培養皿」に

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ハイデラバードにあるインド工科大学の研究者らが今年発表した調査結果では、ムシ川(インド最長の河川の1つであるクリシュナ川の支流)では、高水準の広域抗生物質が検出されている。

地方自治体のプラントに関する責任者は、ロイターからのコメント要請に応じなかった。

パタンチェルー地域における医薬品企業の現旧職員10数人がロイターに語ったところによれば、さまざまな企業の工場スタッフは頻繁に未処理の化学廃液をプラント近くの掘削孔に不法投棄しており、ときには夜間、地元の湖沼に直接投棄することさえあるという。

職員らは匿名を条件に取材に応じており、ロイターではこれらの証言を個別に裏付けることはできなかった。

ドクターレディーズとマイランを含む同地域の大手製薬会社は、いわゆるゼロ・リキッド・ディスチャージ(ZLD)技術を運用しており、廃棄物を敷地内で処理していると述べている。

マイランの広報担当者ニーナ・デブリン氏は、「マイランはいかなる廃液も環境中、掘削井やCETPに投棄していない」と語っている。

ドクターレディーズでは、排水を敷地内で再利用しており、すべての環境規制を遵守していると述べている。

ロイターの取材に応じた上述の業界関係者によれば、汚染管理委員会が工場の排水処理慣行をチェックすることは稀であり、しかも違反に対するペナルティは軽いという。

テランガナ州政府は、コメントの要請に応じなかった。

「一部の企業が許可されている以上の廃液を放出していることには気づいている。だが、彼らは営利企業だ」と同州PCBの広報担当者は語る。「われわれも違反企業に対して行動を起こそうとはしているが、製薬産業を潰すわけにはいかない」

さらに、もっと規模の小さい多くの企業は、高額な排水処理設備を導入するほどの資金を持っていないと同広報担当者は指摘した。

懸念すべきリスク

地元では、過去20年にわたり、製薬会社による環境汚染と地元当局によるチェックの甘さを告発する一連の訴訟が起こされている。一部の訴訟では村民に毎年補償金を支払うよう企業に命じる判決が出ているが、インドの複雑な司法制度のために、多くの訴訟はまだ係争中だ。

ワッハーブ・アーメドさん(50歳)は、Kazhipally湖の湖岸近くに約2万平方メートルの土地を保有しており、10年前までは、その土地で米作を行っていた。だが、近隣数カ所の製薬工場による産業汚染が悪化したことで、彼の土地では作物が取れなくなってしまったという。

「抗議や訴訟、あらゆることを何年もやってきた。そうやって何人かは、企業から年間約1700ルピー(約20ドル)受け取るようになった」とアーメドさんは言う。「だが今どき、そんなわずかな額が何になるのか」

アーメドさんが語る訴訟とは村民に代わってNGO(非営利組織)が提訴したもので、200社を超える企業が被告とされている。

農地汚染は、そこで生計を立てている村民にとって深刻な問題だが、メダック県の水系に薬剤耐性菌が潜伏している可能性は、もっと広範囲の意味を持つ。

多くの水系が生活排水に含まれる有害バクテリアで汚染されているインドにおいて、これは特に憂慮すべき問題だ。こうしたバクテリアが抗生物質に晒される頻度が高ければ、突然変異を起こして、抗生物質が効かなくなるリスクも高くなる。

懸念すべきリスクは、薬剤耐性を備えたバクテリアが人間に感染し、移動に伴って拡散していくことだ。これまで薬剤耐性菌における世界的な関心は、もっぱら、人間の医療及び農業における薬剤の大量使用に向けられていた。

「抗生物質の製造施設からの汚染は、薬剤耐性の原因として3番目に大きな要因となっている」とある世界最大手の製薬会社会長は語る。「しかしそれは、ほぼ見過ごされている」

(執筆:Zeba Siddiqui 翻訳:エァクレーレン)

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