東電は黒字化するか、独自試算の結果は 原発再稼働は難しく経常赤字が必至
柏崎刈羽原発の早期の再稼働はやはり困難
次に、営業利益の段階では、料金値上げによる増収分はそのまま増益要因となる。問題は燃料費の動向だが、これは原発の再稼働の有無に大きく左右される。
東電側は柏崎刈羽原発の1~7号機のうち、中越地震の影響で耐震強化工事が必要な2~4号機を除く原子炉の早期再稼働を目指している。しかし、原子力規制委員会が策定している新規制基準への対応や地元の理解など、再稼働の条件はまだ満たされていない。
津波対策としての防潮堤については、1~4号機用の堤防が6月末に完成することで、対応は完了するというのが会社側の認識だ。一方、沸騰水型原子炉に求められるフィルター付きベント設備については、今年1月に7号機、2月に1号機が相次ぎ基礎工事に入ったものの、本体設備の詳細設計は終わっておらず、着工、完工のメドは立っていない。フィルターベントの工事は通常、1~2年かかるとされ、安全対策だけをとっても、今期中に再稼働申請の準備を整えることは困難と考えられる。
原発再稼働なしでは燃料費の圧縮も大きくは望めない。原発を代替する火力燃料費の円安による増加分は、燃料費調整制度によって回収することができず、これが400億円程度の減益要因となる。
比較的コスト安い石炭火力が試運転開始だが…
ただ、4月から広野6号機(60万キロワット)、常陸那珂2号機(100万キロワット)の石炭火力発電所が試運転を開始し、燃料費が相対的に高い石油火力との一部代替が見込まれる。6000万キロワットにも及ぶ東電全体の設備容量全体からすれば数%にとどまるとはいえ、年間2.7兆円に上る燃料費を数百億円規模で節減できる可能性がある。
あとは、その他のコストをどこまで削減できるかだ。前2013年3月期は、東電単体ベースで従業員が1470人程度の純減となった。うち700人強が早期退職である。今14年3月期もそれに近い数の人員減がありうる。
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