コロンビア内戦、和平合意が否決された理由

国民投票で想定外の結果に

一方、調査機関は国民投票が事前予測に反したのか、その完璧な説明をいまだに見いだせていない。2倍以上の差での賛成派が勝利すると予測していた、デーテクスコのディレクター、セザール・バルデラマは、投票前に和平合意の調印式が行われたことに反応した人の多くが反対票を投じた結果だと話す。また、合意を支持する人たちは自分が投票しなくても勝つだろうと考え、投票の必要性すら感じなかった可能性があるという。政府による政治的演出が裏目に出たというわけだ。

今回の結果には、反対運動を支持していた人たちでさえ驚いている。「私はつねに両者に大きな差は出ないはずだと主張してきたが、自分たちが勝利するとは考えたこともなかった」と、反対票を投じた、北部アンティオキア地域の右翼議員、サンティアゴ・バレンシア・ゴンサレスは語った。

ゴンザレスによると、コロンビアの右派政党は今後、政府に新たな協定内容を提示して反乱軍と交渉するよう圧力をかけていく方針だ。「今こそサントスが私たちの声に耳を傾ける絶好のチャンスだ」とゴンザレスは話す。

協定内容より「和平」を選んだ人も

賛成に票を投じた人の中には協定の内容よりも、「和平」という言葉に惹かれた人も少なくない。ボゴタにあるパン屋のオーナー、ホセ・バルボサは今回、コロンビア中部から逃れてきたときの記憶が頭をよぎったという。近所の人の息子が反政府勢力に動員され、同じことが彼の子どもに起こるのではという恐怖がよみがえったのだ。

それでも59歳のバルボサは、投票箱の前ではいたって現実的だった。「確かに反乱軍への譲歩は行き過ぎている。それでも、彼らが壁に背中を押しつけている以上、反乱軍から武器を奪うことはできない」。

一方、冒頭のソラノは違うことを考えていた。

彼女が幼かった頃、武装したFARCの戦闘員が彼女の家族が持つ農場にやって来て、食品や備蓄品を要求した。拒否すると自分たちの土地から追い出され、家畜も奪われた。その数年前、彼女の祖父も反乱軍によって土地を追われている。

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