米国経済は再びスプリング・スランプに陥るか 景気・経済観測(米国)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

4月雇用統計では、雇用者数が前月差プラス16.5万人と持ち直した。ただし、堅調な雇用回復の目安となる20万人を2カ月連続で下回ったほか、労働時間の減少によって所得の伸びは引き続き弱い。スランプ脱出の決定打とは言い難い状況だ。

ここで、過去3年間のスランプが、それぞれどのような要因で発生したかを整理してみよう。

過去3年のスランプの要因には共通項がある

まず2010年。このときは、ギリシャ救済を巡る混乱から世界の金融市場に動揺が走った。米国でも株価が急落し、進みつつあった景気回復に冷や水を浴びせる出来事となった。

国内では、景気回復の一因となった在庫積み増しが一服し、2010年1-3月期の成長率は減速感を強めた。また4月には住宅購入減税が打ち切られ、その後の住宅販売は過去最低の水準まで落ち込んだ。それによって、持ち直しつつあった住宅価格は再び下落基調に転じている。

バブルが崩壊しても日本のようにはならない、と高をくくっていたアメリカ人の自信が揺らぎ始めたのも、この時期であった。

2011年の場合はどうだったか――。年明け早々、北アフリカ諸国を中心に「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が発生し、 アラブ地域の政情不安から原油価格は高騰した。その結果、米国ではガソリン価格が1ガロンあたり4ドル近傍まで急上昇し、個人消費を冷やす要因となった。さらに、4月のポルトガル救済をきっかけとした欧州債務危機の再燃も、金融市場に再び緊張をもたらした。

 

次ページ後退した欧州や中東のリスク
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事