リベラルアーツカレッジで受ける授業 膨大なリーディングと、活発なディスカッション

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授業ではたまにビデオを鑑賞することもあります。たとえば、この歴史の授業では、”Hero”, ”In the Heat of the Sun”, “Blind Shaft”, “The Gate of Heavenly Peace”などを見ました(どれも授業外に時間をとって見ます)。登場人物が中国語で話している中、英語字幕を読みながら、日本語で理解するというよくわからないことをやっています。

映画も見っぱなしではありません。映画を見た後の授業では、”What did memory play role in “In the heat of the sun?”というように質問されるので、気は抜けません。教授の出す問題は、表面的には現れていないものから出されますし、ひとつの正解を求めているような質問ではありません。ですが、自分で考えることは印象に残りやすいですし、その後で教授の説明を受けると、どのような視点で映像分析をすればいいのかということが分かります。

孔子だったら、天安門事件にどう対応したか?

このクラスは50人で、ウィリアムズのレクチャークラスの中ではかなり大きなクラスなのですが、ディスカッションは、少人数のグループで行い、最後に全体でのディスカッションをすることが一般的です。

特に面白かったディスカッションは、「1989年の六四天安門事件の時に、政府がどのように対応すべきであったかということを、孔子・孟子・荀子・韓非子・毛沢東の著作を基に、彼らならどうしたか、ということを班に分かれて話し合え」というものでした。

教室前方のスクリーンに天安門広場に集まった民衆の写真が出されて、「大変だ! 私はどうすればいいんだ、さあ孔子教えてくれ! あなたは何もかもご存じなんでしょう!」「さあ孟子教えてくれ。お前が孔子より優れていることを存分に見せつけてくれたまえ」といった感じで、ノリノリで教授が各班に質問を繰り出します。生徒も「ワタクシ孔子が思いますに……」とまたノリノリなので、ディスカッションは楽しいです。

私はほかの学生のように、教授が止めないと語りやむことがないくらい、意見をとうとうとしゃべることはもちろんできません。けれどもとりあえず、1回の授業につき1度は発言するという目標を掲げていて、今のところ、かろうじて達成できています。

私が発言できる滅多にないときをうかがい、すかさず手をビシッと挙げて教授に当ててもらい、ちょっとだけしゃべって、「あ、もう満足です。ご清聴、誠にありがとうございました」といった感じで黙ります。日本語でさえディスカッションをやったことがなかったので、あまり話すのは得意ではないのですが、挑戦しないかぎり成長もできないと思うので、気長に頑張っていこうかなと思います。いつかぺらぺら話せるようになることを願いつつ……。

(構成:アゴス・ジャパン 後藤道代)

佐久間 美帆 米ウィリアムズカレッジ2年生

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さくま みほ

1992年生まれ。東京学芸大学附属高校卒業。2011年、東京大学文科一類合格。1学期間東京大学に通った後、同年秋から米国マサチューセッツ州のWilliams Collegeに入学。アゴス・ジャパンのホームページで「佐久間美帆のリベラルアーツカレッジレポート」を毎月更新
 

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