ドコモ、13年度はV字回復ならずか 1100億円コスト削減でも、端末の値引き膨らむ公算

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NTTドコモは4月26日、都内で記者会見を開き、前年度(2013年3月期)決算を発表した。営業収益は前年同期比5.4%増の4兆4701億円、営業利益は同4.3%減の8371億円だった。ドコモは昨年の第2四半期決算発表時に、競合対策の販促費を積み増すため、通期の営業利益予想を9000億円から8200億円に下方修正していたが、修正後の計画は上回って着地した。

スマートフォンの販売台数は前期比6.6%増の1329万台と好調な推移となり、高速通信サービスのLTE契約も1157万台と前年末から5.2倍に増えた。一方で、番号持ち運び制度(MNP)によるユーザー流出は140万人と昨年から大幅に拡大。さらに、端末の値引き負担や販売関連費、新分野のサービス開拓に関する費用増も重く、減益となった。「昨年の下方修正時には800億円の費用を追加投入すると発表したが、効率的に使用した結果、700億円程度にとどめた」(加藤薰社長)。

続く今年度(14年3月期)は、営業収益が4兆6400億円(同3.8%増)、営業利益8400億円(同0.3%増)とほぼ横ばいの計画としている。スマホ販売は好調が続く見通しで、販売代理店への手数料や通信設備の使用料などを中心に、前期比1100億円のコスト削減も実施する。ただ、端末の値引き費用も大幅に増加するため、V字回復とはいかないようだ。

初心者向けサービスをまとめて投下

施策面では、スマホ初心者向けに便利なサービスをまとめてリリースする。月額525円で100種類の人気コンテンツやクラウドサービスが利用できる「おすすめパック」。同じく月額630円でケータイ補償サービスやネットセキュリティなどを含めた「あんしんパック」も5月中旬から開始する。独自サービスの「dマーケット」でも、医療や健康分野などでコンテンツを広げる構えだ。

そのほか、東洋経済はすでに「苦戦続きのドコモ、『両刃の剣』の新戦略」で報じているが、既存の「ドコモID」を活用し、ネットワークや端末の違い、そして携帯電話会社の違いを意識することなく、各種サービスを拡大する「開放戦略」も発表した。また、恒例となったアップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の取り扱いに関して聞かれた加藤社長は、「従来とスタンスは変わらない」とし、決まったものはないと話した。

(撮影:今 祥雄)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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