日本株に忍び寄る「欧州発10月危機」の足音

ドイツ銀の株価が物語っている状況の深刻度

一方、日銀の政策に対する市場の評価も、やはり芳しいものではない。筆者の知る市場関係者の間でも、今回の新しい政策枠組みはものすごく反応が悪い。厳しい評価をする人が大半である。それは当然であるため、今さら論評するつもりはない。

それに加え、前回の会合で決まったETF(上場投資信託)購入額の増額による日本株の買い支えにも、やはり感心しない。

いったい、現状の株価水準と企業の実力との差をどのように埋めるつもりなのだろうか。株価を支えることで、インフレになるとでも考えているのだろうか。

それ以上に問題なのが、企業価値と株価とのかい離が拡大することにより、市場の健全性が失われ、市場参加者が減少することである。日本株は割高なので買わない、とはいえ、日銀のETF買いがあるため、空売りしても下がらないので妙味がない。

こうなってしまうと、参加者は着実に減っていくだろう。非常に残念である。10月に入ってしばらくすれば、今年上期の企業業績が徐々につまびらかになる。

株価の調整が不可避なのに、価格が捻じ曲げられている

現在、日経平均株価の構成銘柄(225)の「1株当たり利益」は1177円だが、8月には1200円を超えていた。つまり、着実に切り下がってきていることになる。

ドル円の影響を冷静に考慮すれば、1株当たり利益が現状から引き上げられることは考えにくい。つまり、株価収益率(PER)が現状の14倍から12倍程度まで売り込まれるだけで、現在のドル円が100円の場合の日経平均の適正レベルと考えられる1万4000円程度まで容易に調整されることになる。

実際には、12倍でなくとも、1株当たり利益が下方修正されれば、PERが変わらなくても、株価水準自体は自動的に低下することになる。このように、株価の調整はほぼ不可避なのだが、結局は日銀のETF買いが本来あるべき株価水準を捻じ曲げている。本当に困ったものである。

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