村上ファンドOBに翻弄される名門学研
業績不振の学習研究社に対し、遠藤洋一郎社長解任の株主提案を行っていた筆頭株主の投資ファンドが要求を取り下げた。
2007年に現れた「エフィッシモ・キャピタル」(シンガポール)の高坂卓志代表は旧村上ファンド出身。保有比率を19・82%まで引き上げ、4月22日に業績不振などを理由に株主提案実施を表明。ただ、抜本的な業績向上策などが公表された場合には取り下げもあるとしていた。
学研は5月9日に赤字事業からの撤退や人件費の削減、社外役員の招聘など新たなリストラ策を発表。東京・西五反田に建設途中の新本社ビルは7月に242億円で売却し、その資金は学習塾の投資などに充てる方針を示した。これを受けてファンド側は提案を取り下げた。
エフィッシモが学研株の大量保有報告書を初めて提出したのは昨年7月。その後も買い集め、買収防衛策発動の20%寸前まで迫った。遠藤社長は01年に就任。その間も業績は低迷し、直近は2期連続の経常赤字だった。今回のリストラについて学研側は「ファンドから50項目以上の情報開示要求があった。ファンドの提案以前から私たちは改革すると言っていた。それを実行しただけ」と話す。
企業のM&Aに詳しい服部暢達・一橋大学大学院客員教授は「要求を一度真に受けると、次第に無理難題を言われ、株式公開買い付けに持ち込まれる可能性がある」と指摘する。提案取り下げで一件落着といきそうもない。
(山本亜由子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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