では、一流の人に学ぶ「読書の秘訣」は何なのか。以下、ポイントを3つに絞って紹介しよう。
【1】「忙しいこと」を言い訳にしない
世界中の二流の人々に宣告するが、忙しいことを、本を読まない言い訳にしてはいけない。逆説的だが、忙しければ忙しいほど、読書量を確保している人が世の中には多い。逆に、「どこからどう見ても暇な人」に限って、本も読まないものだ。
私は別に「何が何でも本を読め」と言っているわけではない。新聞でも雑誌でも、ネットで動画を見るのでも構わない。要するに、良質の情報、思考方法、知的な刺激を絶えず受ける習慣を持つことが、「一流の読書」への第一歩である。
【2】自分の偏見を助長する「二流の読書」をしない
なお、読書をしながら、視野がどんどん狭まっていくような「二流の読書」をしている人も少なくないので注意が必要だ。
読書で重要な要素のひとつは、視野・視点を広げることだ。これに対し、二流の人に限って、マニアックな特定分野の、自分の偏見を助長してくれる著者の本ばかり読みたがる。こういう「二流の読書」では、読書量が増えても、自分の視野を狭め、偏見を増長させるだけだ。
もちろん「各人が好きな本を読むのが基本」でいいわけだが、知性を磨いていくためには、自分の意見や価値観とは相いれないものも含めた「多様な情報源」を確保するのが不可欠といえるだろう。
【3】文章を正確に読む「まともな知性・メディアリテラシー」を身につける
最後に、「一流の読書」にとって最も大切なのは、「書かれたことの一部を読んで批判したり、自分の都合のいいように曲解したりしない」という「まともな知性・メディアリテラシー」を持つことだ。
世の中には、書いてあることを文字通り信じるどころか、そもそも全体を理解できず一部にだけ反応して、自分の都合のいいように解釈し、批判する二流の人は思いのほか多い。
そういう人に限って、そもそも数百万人の読者に向けて書かれた文章に対し、「これは全員に当てはまるわけではない」などという、極めて当たり前で二流の批判をしたりするものだ。
あなたのまわりの人は「この人が何を読んでいるか」に加えて「この人が読んだものに対して何を言うか、どんな感想を持つのか」も注意深く見ているものだ。
的はずれな感想を堂々と語ったり、逆に、当たり前のことをしたり顔で語るようでは、一流の人には「しょせん、この程度の人なんだな」と見透かされることになる。
「そもそも本を読む人かどうか」で、あなたが「自分自身を成長させていける人」かどうかはバレるものだ。
それに加えて「どんな本を読んでいるか」そして「読んだものに対してどんなコメントをするか」ひとつで、あなたの「主体性や教養、まともな知性・メディアリテラシー」の有無までバレることを、いつも肝に銘じなければならない。
(イラスト:岸 潤一)
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