11月安値1万5000円を覚悟する4つの要因 下落基調の相場で注目すべき銘柄は?

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このため、小売や外食といった消費関連の産業においては高額商品が不振で、低価格品が相対的に好調な業態だ。これは、日本の消費者の心理こう着もあるが、外国人観光客による「爆買い」後退も大きい。

こうしたデフレ的な特徴が、先週の個別銘柄の物色にも表れていた。たとえばセイコーホールディングス(8050)は、2017年3月期の連結純利益が前期比75%減になりそうだと13日に発表し株価が急落した。減益の背景には、高額な時計の販売減が大きい。ひらまつ(2764)も、高級レストランを主力とするが、9月5日、4~9月期の連結純利益予想を、7%増益から56%減益に下方修正している。それを受けて先週も株価の下落基調が続き、年初来安値を更新する局面があった。

精神面と肉体面から自己投資

一方で、安価な外食の松屋フーズ(9887)が年初来高値を更新している。松屋だけではないが、気軽に安く酒が飲める、ちょい飲みサービスが人気だ。サイゼリヤ(7581)も、今年の安値からは株価が持ち直し、上値をうかがうような動きとなっている。

個人消費の動向での注目点は、こうした全般的なデフレ色だけではない。節約志向が強いながらも、使いたいものにはお金を使う、という、メリハリの強い傾向もある。たとえば内閣府の消費動向調査における、サービス支出DI(どのサービスにお金を使うかの意向を示すデータ)によれば、自己啓発(英会話、カルチャーセンターなど)やスポーツ活動費(スポーツジムなど)に使うお金はあまり減らさない意向がうかがえる。これらは自分への投資、自分磨きだ。自己啓発は精神面の自分磨き、スポーツ活動は肉体面の自分磨きと解釈できる。

化粧品でも、口紅やチーク、マニュキュアなどの「塗る」化粧品より、美肌に貢献する基礎化粧品が、高額でも根強い需要があると聞く。皮膚を健康にすることで、美しくなろう、との志向も強まっている。ヤーマン(6630)の株価が上振れしたことからも、美顔器などの美容家電に対する需要の強さ(これも一種の自己投資)がうかがえる。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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