卵子凍結に助成を決めた浦安市長の「覚悟」 保険適用と同じ3割負担のラインを目指して
――出産を焦る気持ちは、35歳から40歳くらいの方がいちばん強いかもしれません。35歳以上の市民から「もう少し上の年齢まで対象にして欲しかった」という声はないですか?
もちろん、そういう声はありますね。「38歳までにしてほしかった」とか。ただ、行政が市民の税金である公費を使うわけですから、どこかで線を引かなくてはいけないというのは現実としてあるんです。ボーダーラインにいる人たちに対しては本当に申し訳ないけれど、卵子凍結保存をしておしまいではなくて、それを使用するところまで考えると、せめて30代半ばでないと厳しいという話になりました。
不妊治療費用も上乗せ助成
――ただ、34歳以下というのは、あくまでも卵子凍結保存の話であって、保険適用にならない不妊治療も助成されていますね。
理想的には20代で出産したいけれど、難しいという人も少なくありません。不妊治療中の人たちに話を聞いて、なるほどと思ったのは、「不妊治療が必要だと気づいていたとしても、20代で100万円を払うゆとりはない。治療費が高額すぎて、おカネを貯めているうちに30代後半になっている」という話でした。
市民が、特に不妊治療をしている若い女性たちが困っている。でも、今の日本では不妊治療は保険適用にならない。それなら保険適用と同じ、3割負担になるラインを目指して、行政が助成すればよいのではないかと思ったのです。
浦安市では、千葉県の特定不妊治療費助成に上限10万円の上乗せをしています。
男性不妊検査費の導入も検討しました。話を聞いていくと、男性がなかなか検査に行ってくれないという。でも半分は男性が原因なわけです。男性が検査に行くきっかけになればと、費用の一部を助成しています。さらに、昨年度からは、特定不妊治療の一環として男性不妊治療を実施した場合の治療費の一部の助成も始めました。
そんなに簡単ではないとも思いますが、自治体が動き出せば、少しずつ状況が変わっていくのではないかという気持ちで頑張っています。
(後編に続く)
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