阪神・甲子園駅の野球ファン輸送は「神業」だ

試合の流れを読んで臨時のタイミングを判断

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奥に止まった列車の乗客は、手前の車両を通過して球場出口へ。こうすることで人の流れをスムーズにしている(筆者撮影)

甲子園駅は、上下線とも列車の追い抜きができる構造。球場にいちばん近い南側の線路には、通常のホームとは別に降車専用ホームがある。このホームは球場へ向かうプロムナードに直接通じており、梅田方面から来た臨時列車はこのホームへ乗客を降ろすのだが、面白いのはこの後だ。

「臨時列車は両側のドアを開けたまましばらく停車させ、次に到着する列車の乗客も車内を通り抜けて降車専用ホームへ出られるよう、お客様を誘導しています。こうすることで、列車を降りた多くのお客様がスムーズに球場へ向かえるのです」(藤森駅長)

試合展開で決める「帰りの臨時」

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甲子園駅止まりの臨時列車から下車する乗客。プロ野球開催時は往路・復路ともに臨時列車が運転される(筆者撮影)

一方、腕の見せどころなのが復路の輸送。帰りの観客が多くなるタイミングを見計らって、甲子園駅始発の臨時列車を手配する。

「復路輸送は試合開始直後から始まります。まず、実際に球場へ行って観客の入り具合を確認し、次に臨時列車を出すタイミングを考えます。基本はゲームセットと同時ですが、そうなることはほとんどありません。試合の進み具合はもちろん、当日の観客数や天候、そして得点差なども考慮して決めます。試合の状況は駅長室などにあるテレビで随時チェックし、さまざまな状況を考慮して駅長が最終判断します」(桒村さん)

たとえばタイガースが大差で負けている場合は、7回裏の攻撃が始まった時点、つまりタイガースファンがジェット風船を飛ばしたあたりから“帰宅ラッシュ”が始まる。逆に、接戦の場合は試合終了と同時に波が一気にくるため、そのタイミングに臨時列車を集中させるという。その合図を出すのが、藤森駅長の役割だ。

「当社の観客輸送の特徴は、甲子園駅が路線の中間にあること。終点駅ではないため、ここに待機させられる列車の本数が限られます。臨時列車に使う車両は、約2.6km西の西宮駅や10km以上離れた石屋川車庫などで待機しており、ここから当駅までの回送にかかる時間も考慮しながら手配する必要があります。ここが腕の見せどころです」(藤森駅長)

取材当日は往路で3本、復路で5本の臨時列車を運転。本数としては多いほうだという。1列車あたりの定員は約770人で、チケットの前売り状況などで本数を決定する。

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