ローソンのカット野菜、急成長の秘密 “弱点”払拭で、販売が一気に4倍

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
富士食品工業のカット野菜工場内。大量の野菜を次々とさばいていく

富士食品工業は全国の契約農場を通じ、土作りに徹底的にこだわる「中嶋農法」という農法を用いた野菜を調達する。中嶋常允・エーザイ生化研名誉会長が提唱する中嶋農法では、土壌中に含まれる11種類のミネラルを分析。欠乏している要素があれば補給し、常に土壌を最適な状態に維持するのが特徴だ。

富士食品工業が農業の現場にまで踏み込む背景には、1965年の創業のきっかけになった「もやし」の生産方法がある。もやしは農薬などを使用せず、日光水系の地下水をたっぷり使って生育する。もともと、86年に大手スーパーの要請を受けてカット野菜市場に参入したが、当時は別の食品メーカーに製造を委託していた。

土作りを怠った農法は「意に反する」

ところが、「今の日本の農業は化学肥料や農薬、除草剤が主体で、土作りを怠って野菜を作っている。これは俺の意に反する」(富士食品工業の髙橋直二社長)と、みずからが納得のいく商品の提供に切り替えていった。

*記事初出時、「『化学肥料や農薬、除草剤を使って生産された野菜は意に反する』(富士食品工業の髙橋直二社長)と、カット野菜の原料となる野菜に農薬などが使われていることに疑問を抱き、みずからが…」と記述しておりましたが、過不足な部分がありましたので表記のように修正いたしました。お詫びして訂正します。

ローソンは、こうした富士食品工業のこだわりや取り組みを評価。約5年前から取引をしているが、カット野菜の分野で本格攻勢に出たのは12年4月だ。リニューアルした「ローソンセレクト」のカット野菜でも富士食品工業と組み、中嶋農法で栽培された野菜を使用しているカット野菜のパッケージに「中嶋農法」の名称を記載。規格外の野菜を使っているというイメージを払拭した。

次ページもう一つの“弱点”、割高感への対処は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事