「マイクロファイナンス」の幻想と真実 貧困層支援協議グループのCEOに聞く
途上国ではマイクロファイナンス発祥の有力金融機関も
――巨大なNGOが金融サービスを提供する必要があるのでしょうか。銀行や株式会社でもできることではないですか。
国によってはマイクロファイナンス機関が預金を受け入れることを許可していない場合も多々あります。マイクロファイナンス機関がリスクをとっておカネを貸すことは構わないが、預金を受け入れるには十分な流動性を確保していないと困る、という事情があります。
いくつかの途上国では、最大の金融機関がマイクロファイナンス発祥というケースもあります。たとえばケニアのエクイティバンクは、現地の開設口座数の半数を握っています。小口預金が中心なので、預金総額の半分ではありませんが、彼らが事業を展開することで、ケニアの国民は銀行口座を持つ機会が飛躍的に増えました。カンボジアのアクレダ銀行もそうです。この2つはもともとNGOですが、貧しい人々に融資をするというイノベーションを起こすことで成長してきました。今は政府から認可を受けた金融機関に転換しています。
――マイクロファイナンスが商業化して、一部の中間層にしか融資をしないという批判があります。金融機関として大型化することで、対象となる最貧困層がこぼれ落ちないでしょうか。
マイクロファイナンスと一言でいっても、さまざまな概念を含んでいます。実際に何をやっているか、その国の金融機関に対する規制によって、かなり様子は変わってきます。
マイクロファイナンス機関によっては純粋なNGOという場合もあるし、預金を受け入れられないノンバンク系の金融機関というケースもありえる。あるいは協同組合形式、預金を受け入れる商業銀行系もある。これがマイクロファイナンス機関だという定義は存在しません。だから、どの形態がよいという話ではなく、目的に応じた機関が必要なのです。
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