牛丼“値引き戦争”は、いつまで続くのか? 食材高止まりで低価格路線に限界も

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ただ、その後、期間限定での値引きを濫発したために、2011年後半から集客効果が薄れてきたことに加え、12年に入ると牛丼に使うバラ肉やコメがそれぞれ3~5割も高騰。値引きの原資が乏しくなったことにより、年間を通じてほぼ値引き販売を“封印”していた。

この間、期間限定値引きの代わりに各社が採った戦略は、“高価格商品”への注力だ。松屋は昨年7月に「カルビ焼肉定食」(630円、期間限定)、吉野家も同9月に「牛焼肉丼」(480円、同)、すき家は同8月からレギュラー商品として牛トロ丼(680円)を、それぞれ投入した。

低価格戦争再燃か、春の値引きが試金石に

もっとも、各社の投入した高価格商品は、低価格に慣れた顧客の心をつかみきれず、かつての牛丼の値引きほど爆発的な集客力にはつながっていない。3社の2012年度の既存店売上高前期比はすき家92.2%、吉野家97.7%、松屋92.9%といずれも前年割れに沈んでいる。

そうした意味でも、今回の期間限定値引きには、集客効果がまだあるのかどうかを試す意味合いもありそうだ。

“期間限定”とはうたいながらも、コメや牛肉など食材価格が高止まりする中で、かつてのように年間7~8回も牛丼の値引きが行われる低価格戦争が再燃するのか。先の見えにくい牛丼業界で“春の陣”の火ぶたが切って落とされようとしている。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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