「不動産投資に失敗する人」の甘すぎる考え

サラリーマンが簡単にできるものじゃない

もうひとつの事例も紹介しよう。Bさんも20代後半の会社員で年収は600万円。独身で貯金は550万円。2010年と2011年に投資用ワンルームマンションを2戸、東京・練馬と杉並に購入した。

当時、投資に興味があったので不動産会社からの強い勧誘もあり、「将来の家賃収入は年金の代わり」というメリットに惹かれて購入したようだ。運営はサブリース契約で、両物件の借入残高がそれぞれ2000万円弱で計4000万円。持ち出しが月に4万円ほどあった。

「多少投資を勉強はしましたが、正直なところ先の見通しが甘いまま購入してしまった感が否めません。このように持ち出しが多い中、今後どうすればいいのか、運用、売却を含めて検討しています。頭が混乱してなにから手をつけていいかわかりません」と話をしてくれた。

いくら払って、いくら損しているのかが全然わかっていない。こういう人の場合はまず収支の内容を精査することが必要である。物件の資料を預かり、収支を計算し事実を把握することが重要である。

投資用のローンがあると住宅ローンは借りられない?

サラリーマンの場合、よく「投資マンションを買っても住宅ローンは組めます」と不動産会社に説得されるようだ。このことを銀行に聞いてみると、投資物件が赤字を出していると住宅ローンの審査は難しいと明言している。

投資は事業。事業で儲かっていないのに、さらに住宅ローンを借りて住宅を建てるというのは、銀行としてはあり得ない話なわけだ。頼み込んで無理矢理自己居住用の住宅ローンを通してもらったケースもあるが、それはたまたま投資物件が過少ながらプラスの収支だったからです。

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また、不動産会社はよく「不動産投資をやるなら持ち家を買うな」とも言ってくる。これは、住宅ローンを抱えていたら、投資物件の購入の際に借りられる枠が残らないから。年収1千万円の人が金融機関から借りられるローンの枠は、年間の返済額の上限が年収の35%以内と言われている。つまり、年間350万円が返済の上限となり、これを金利2%、35年返済で逆算すると7000万円程度の借入が可能になる。

それ以上の借り入れになれば返済できないというリスクが大きくなるため、金融機関は規定を超えた貸出はしない。この条件で住宅ローンを組んで持ち家を買われてしまうと、ローン利用での投資用不動産はいくつも買えないことを知る不動産会社にとってはデメリットな話だ。つまり7000万円も借りられる優良顧客には持ち家は買ってもらいたくないというわけである。

サラリーマンが投資物件を購入できるのは、安定した収入がある給与所得者だから。銀行は赤字になろうがお構いなしで取り立てに来る。借り入れはくれぐれも慎重に行うべきだ。

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