近づく金融政策決定会合、再度の円安になるか ディーラー歴20年の達人が読む為替

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まずはキプロスが金融センターとして、金融業の規模がGDPの約8倍と、身の丈以上の資金を集めすぎたことがあげられる。国家が救済できる範囲を超えてしまった。しかも資金の運用先はというと、利回りの高いギリシャ債券やロシアへの融資などに向かっていたのである。もともとユーロ圏域内で低い税率で資金を集め、しかもマネーロンダリングの拠点ではないかと疑われていたキプロスの存在は、ユーロ圏で支援に回る国々にとっては苦々しく思われていたのだろう。

うっかり本音を語ったユーロ首脳

救済に疑問符が付く資金を、各国の納税者の資金で救済することは、額が100億ユーロと多額ではなくても到底容認できない、とユーロ圏の首脳陣が思っても仕方のないことだ。

EUを取るかロシアを取るかの選択を迫られたキプロス大統領は、EUをとりユーロ圏にとどまる選択をしたが、これでキプロスの金融センターの命運も尽きたと言えよう。

ともかく救済策がまとまったことで、いったんは楽観的になったのだが、そこに飛び出したのがダイセルブルーム・ユーログループ議長の発言だ。彼は政府と納税者が負担を強いられる構造を変える必要があり、今回のキプロスの銀行リストラのスキームが他のユーロ圏の前例にみなされるべきだ、と発言した。

要するに「これからは銀行を救済するときは、納税者の資金をつぎ込む前に預金者の資金をつぎ込むぞ」とつい本音を語ってしまったのだ。まあ、預金者も納税者のわけだし、今回も10万ユーロ以下の小口預金者は守られたわけだが、最初の案では小口の預金者の資金も召し上げる予定だったことを考えると、今後は小口預金も安心できない、という衝撃がマーケットに走りユーロ売りにつながってしまった。当然「次に危ない国は?」ということになれば、スペイン、イタリアという連想が働いたからだ。

もちろん今のところスペイン、イタリアの銀行がすぐにどうこうなるわけではない(単独行という意味ではなく金融システムという意味で)。だがユーロ圏の首脳クラスからこのような発言があればスペインやイタリアの銀行の預金者は心穏やかではない。不安心理からの預金取り付け騒ぎのリスクもあり、スペイン、イタリアの金融システムにダメージを与え、それこそ救済が必要になってしまうかもしれない。

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