三菱エコカーでも不具合、GSユアサの失墜 B787に続き、リチウムイオン電池でトラブル
最近、育成に力を入れてきたのがEVやPHVなどに搭載される自動車用リチウムイオン電池だ。その技術を航空機向けにも応用して実用化に成功。第1弾がB787で、航空機向けには世界で初めての採用となった。自動車向けは滋賀・栗東工場で、航空機向けは京都工場で生産している。
自動車向けでの本格採用はここ2~3年
リチウムイオン電池は、正極と負極の間をイオンが行き来することで放電と充電が行われる仕組み。小型で軽量という特徴を生かし、携帯電話やノートパソコンなどモバイル機器用の電池として、爆発的に普及した。これが、日産自動車が世界に先駆けて量産したEV「リーフ」をはじめ、自動車向けで本格的に使われ始めたのが、ここ2~3年のこととなる。
これまで旅客機には、ニッカド(ニッケルカドミウム)電池が使われていたが、B787はボーイングが機体の軽量化を狙って、リチウムイオン電池を航空機として世界で初めて使うことになった。リチウムイオン電池とニッカド電池と比べると、サイズや重量で2~3倍の差があるようだ。
しかしながら、リチウムイオン電池にはリスクもある。携帯電話の普及初期に、電池が膨れ上がったり、06年ごろに日本メーカー製のノートパソコンから発火する事故が相次いだりしたことを記憶している人も少なくないだろう。リチウムイオン電池は素材や電池とつなぐ各種の機器・システムとの組み合わせを間違えると、トラブルにつながりかねない製品なのだ。自動車や航空機向けに万全のテストを重ねたに違いないが、モバイル機器と似たようなトラブルが出たことは事実である。
原因や責任の所在は定かではないものの、航空機と自動車という、最も安全性が重視される工業製品において、一歩間違えば惨事にもなりかねないトラブルがリチウムイオン電池から発生してしまったことは、一般に悪いイメージを与えてしまっている。
GSユアサのリチウムイオン電池事業は赤字が続いており、これから顧客を獲得していこうと伸ばしてきた分野。次世代の自動車や航空機向けとして成長が期待されていた“バラ色の未来”のシナリオが、崩れつつある。
(撮影:尾形 文繁、風閒仁一郎)
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