三菱エコカーでも不具合、GSユアサの失墜 B787に続き、リチウムイオン電池でトラブル
GSユアサにとって痛いのは、同社製のリチウムイオン電池をめぐるトラブルが複数分野にまたがって続出していることだ。
今年1月、山口宇部空港発の全日空機などで、米ボーイング社の新型旅客機「B787」のバッテリーが、2度にわたって異常過熱するトラブルが起きた。この787型機に搭載されていたのも、GSユアサが京都工場で製造したリチウムイオン電池だった。
B787バッテリーの調査は難航
同機のバッテリー異常の原因については、日米の航空当局で調査が進められているが、調査は難航。問題の所在は電池自体、発電機から電池に充電するまでのプロセス、電気システム全体の設計や制御などさまざまな可能性があり、調査開始から約2カ月が経つ現在も究明が十分に進んでいない。3月27日に日本の運輸安全委員会が開いた会見でも、後藤昇弘委員長は「現時点で根本的な原因解明に至っていない」との見解を示した。
運航再開を急ぎたい米ボーイング社は3月中旬に、新たなバッテリーシステム採用による改善計画案を米国連邦航空局(FAA)に提出。、80通りもの原因を想定し、大型電池を構成する各セルに絶縁テープを巻き絶縁性能を強化するなど、そのすべてに対応できる対策を講じることで、「最終的に根本的原因を究明できなくとも、安全に運航できる対策を今回打った」(787型機の技術担当幹部である、ボーイング民間航空機部門のマイク・シネット バイスプレジデント兼チーフ・プロジェクト・エンジニア)としている。
この改善計画案においても、GSユアサ製のバッテリーは引き続き採用しており、ボーイングはGSユアサの供給する製品自体に問題はないと考えているもようだ。
だが、それでも電池メーカーとしてのGSユアサの信頼は揺らいでいる。
そもそもGSユアサとは、2004年にYUASAと日本電池が統合して発足した企業である。鉛蓄電池で国内首位、世界3位級の実力を持つ。直近2012年3月期の連結売上高は2854億円、営業利益は160億円。自動車用電池は日本車メーカーを主要顧客に、新車・補修用を手掛ける。乗用車のエンジンルームの中にあるバッテリーで、そのロゴを目にしたことがある人も多いだろう。産業用鉛蓄電池はフォークリフト用、電源装置用で展開。特にビルのバックアップ電源などの電源装置は、国内市場をほぼ独占している。