野田聖子氏盛大パーティーで見えた次の政局 自民の大物政治家が集結した理由とは?

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森元首相はとっさに挨拶の順位を変えるように指示し、先に丸川珠代五輪担当大臣を登壇させた。不意打ちをくらったような表情を見せた丸川氏は、挨拶でいきなり小池知事を「おかあさん」と言ってしまい、慌てて訂正する一幕もあった。

その間に小池知事と少し言葉をかわした森元首相は、挨拶の最後に「東京大会はリオ以上に素晴らしいものにしないといけない。招いたのは東京だから、全ての責任は小池知事にある」と言明。その言葉はオリンピック・パラリンピック利権に斬り込もうとしている小池知事への牽制とも見てとれた。

そのような彼らとうまく付き合う野田氏は、大物政治家の風格さえ感じられた。

ロイヤルブルーの意味

またパーティーでは、現政権への“恨み節”とも思える発言もあった。野田氏の祖父・卯一氏が建設大臣時代に父・二朗氏が建設大臣官房長を務めたという石破茂前地方創生担当大臣の挨拶だ。「閣僚を降りて、何でも言えるようになった」とにこやかに話す石破氏は、「2012年と2014年に当選した議員は野党時代を知らない。これでいいわけない」と自民党の当選1、2回生の議員の奢り高ぶりに対する懸念を表明した。だが当選1、2回生を批判することは、彼らを生みだした第2次安倍政権への批判を意味することは明らかだ。

さてこの日の野田氏のいでたちにも、その決意が伺えた。着用したスーツは鮮やかなロイヤルブルーで、野田氏が郵政大臣に就任した時に着用したスーツと同じ色。原点回帰という意味かもしれない。

そういえばリオ・オリンピックが開催された今年も、野田氏にとって原点復帰を示唆する年といえるだろう。野田氏はローマ・オリンピックが開催された1960年に生まれ。「聖子」という名前はオリンピックにちなんで付けられたものだ。その次の大会は1964年の東京オリンピックで、今年のリオ・オリンピックの次の開催地も東京だ。

野田氏にとって過去2年が冬の時代だとするならば、これから新しい命が芽吹く春がやってくるのか。パーティーでは二階俊博幹事長が「女性が輝く社会というが、自民党がそうでなければならない。その最短にいるのが野田さんだ」と野田氏を最大に称賛したが、その言葉はあながち単なるお世辞ではないかもしれない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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