出光興産、米国シェール革命に乗る 米ダウと提携、三井物産との合弁で石化製品工場建設へ
ダウはテキサス州フリーポートやルイジアナ州セントチャールズに大規模なエチレン工場を持ち、シェール革命で大幅に値下がりした米国産天然ガスに含まれるエタンからエチレンを製造している。フリーポートでは17年稼働に向け世界最大級のエチレン工場(エタンクラッカー設備)を増設する予定にある。合弁会社は、ダウから製造コストベースでのエチレンの引き取り権を確保する。
原料コストを最大2分の1に圧縮も
「現在、千葉工場では石油由来のナフサを原料とするエチレンからαオレフィンを製造しているが、米国産天然ガスを原料とするエチレンから製造すれば、原料コストは3分の1から2分の1程度削減できる」と、出光興産の機能材料部AO・AO誘導品グループリーダーの岡田憲夫氏は見積もる。
αオレフィンの原料コストは製造コスト全体の約半分を占めており、半減できれば競争力と採算性は大きく改善する。また、合弁会社の17年時点での世界シェアは約8%に達し、4強に次ぐ地位を確立する。出光単独としても、販売額とシェアが倍以上に拡大する見込みだ。
販売先は、年産33万トンのうち7割程度が北米向けで、合弁会社が販売する。残りは欧州と中国を含むアジアで、この輸出販売については三井物産が担当する。三井物産は、ダウとはテキサス州で電解工場を合弁設立するなど以前からパートナー関係にあり、出光ともαオレフィンを含めて海外販売で協力関係にある。
一方、ダウは合弁会社に対して原料のエチレンを供給するのに加え、合弁会社から製品であるαオレフィンの一部供給を受ける。ポリエチレンなどの原料を安価で確保するためだ。今回の3社の提携は、各社が強みを持ち寄って、独自のメリットを追求しようという3社の思惑が一致したものと言える。
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