途上国のヘルスケアに日本は貢献できる 国連の「持続可能な開発目標」でも推進役

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日本は、このSDGs策定の議論の中で進歩的で重要な視点を示し、重要な役割を果たしました。社会政策のパッケージ支援、気候変動対策、雇用と経済成長などの包摂的な考え方を示し支持しました。日本では内閣府にSDGs推進本部を設置し、本部長は首相です。SDGs達成のために一国の首相がトップを務めるということは他に例がないことです。日本自身は2030年を待たずに目標を達成できるでしょう。その後は他国へのSDGs達成のための支援をお願いしたい。

人口が増加することで問題は複雑化

――UNDPへの民間協力としては、農業や食品、生活必需品などの製造業、流通業の参画が多いようですが、金融事業者の支援は可能でしょうか。たとえばグラミン銀行のような活動は。

残念ながら金融に関しては公的機関が中心で、民間ファクターからのSDGsへの関心はあまり高くありません。私自身バングラデシュで働いたことがあり、グラミン銀行の活動はよく知っています。大変よい仕事をされていますが、SDGsの活動としては難しい面があります。

ただ、民間金融機関の協力を得る方法がないわけではありません。たとえば2014年エボラ出血熱のアウトブレイクのときに、シエラレオネ、リベリア、ギニアの3カ国で、地元3カ国の金融機関とマスターカードが協力して、公的機関から病院関係者への支払いシステムを構築しました。これはクレジットカードのシステムですが、携帯電話を使ったモバイルマネーなど、新しいやり方を入れる余地はあるのではないかと思います。

――現在世界の人口は75億人、人口増加の流れを見ますと人口100億人を超えるのはそれほど遠い将来ではなくなります。食糧やエネルギーなどの問題とヘルスケアの今後について、どのような見通しをお持ちですか。

大変難しい問題です。食糧もエネルギーも、大きな問題の中の2つに過ぎません。人口が増加することによって問題はますます複雑化していきます。無秩序な組織も増えてきます。若者に必要なさまざまな機会、仕事、目標がなく、豊かな国へ移動する。そうすると先進国にも医療制度や栄養状態の問題が出てきます。人口が増えてエネルギー使用量が増えれば温暖化も進む。

サスティナビリティを考えるなかで、さまざまな効率と生産性をあげていくことで、誰もが食糧やエネルギー、医療サービスを利用できるようにしなくてはいいけません。生産と消費をマッチさせるための技術と知恵が必要ですね。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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