若者に「ググる前にインスタ」が定着した意味 オジサンの「ステキ投稿」はここを押えている

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気になるパンケーキが一目瞭然

「まず、グーグルとインスタでは、情報の質が違います。グーグル検索で上位に出てくるのは企業やメディアが伝える『整えられた情報』。それがどこまで本当なのか、若者たちは疑問視しています。一方、インスタは『こんな味でした』『こんなふうに使っています』『使い心地はこうです』と、すでに食べた人、買った人、使った人が提示する体験情報が中心。それを写真と一緒に確かめられるのは大きい」(金濱さん)

インスタグラムの「手っ取り早さ」も、同世代に受け入れられる要因だと金濱さんは指摘します。確かに、グーグルでモノを調べる時は、目的に近づくために自分でキーワードを考えていろいろ入力しなければならず、それでも結局、ダイレクトには調べたいモノにたどり着かないこともあります。

それがインスタグラムなら、必要な結論に寄り道せずたどり着けるうえ、文章ではなく、ひと目でわかる写真ですべてを表示してくれます。自分の関心のあるものを、感覚的に選ぶことができるのです。

「埋もれたくないし、外れたくもない」という欲求

これを裏付けるように、インスタグラムの利用者は驚くべきスピードで増加しています。昨年はツイッターの利用者数3億人を抜き、今年6月には全世界の月間アクティブ利用者数が5億人、そして1日あたりのアクティブ利用者数が3億人を突破したと発表されました。1日あたり平均9500万件の写真・動画コンテンツがシェアされ、平均42億の「いいね!」がやり取りされます。日本の利用者数は1200万人と言われています。

また、インスタが選ばれる理由には、今の若者ならではの「意識」「感覚」も影響しているようです。藤田さんが解説します。

「『インスタで流行っているモノは今っぽい』という風潮がありますね。昔ならば、テレビが担っていた役割を、今はインスタグラムが担っている感じです。同時に、インスタで流行っているということは『皆が実際に食べた、行った』という実績でもあります。若者は『自分らしさ』を大事にしたい一方で『皆から外れたくない』という欲求もあり、『皆がシェアしている話題は何か』を知りたがるのです」(藤田さん)

そこに見え隠れするのは「憧れ」と「共感」を絶妙なバランスで感じたいという、若者たちの感覚です。インスタグラムで写真映えする対象のことを「インスタ映えする」「インスタジェニック」と言います。さらにその写真を「フィルター」の機能を使ってカッコよく加工することで、いっそう「憧れ」「共感」を集められる投稿に変化させるのです。

「例えば人気店のパンケーキなどはシズル感が画面からあふれ出るため、見た人は『私もそこに行って、同じ経験をしたい』と思います。ほかにも、ムートンブーツを買うかどうか迷った際には『#ムートンブーツ』で検索し、表示される写真の多さで人気を確かめ、安心する。横並びにはなりたくないけど、外さず、トレンドに乗りたいのです」(藤田さん)

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