メタンハイドレート、日本海側でも本格調査へ 期待の国産エネルギー資源、課題は生産コスト低減
ただ、これらはあくまで存在量(原始資源量)であって、そこからどれだけ回収できるかは別の話だ。その回収率を増やし、単位当たりの生産コストを低減することにより商業生産のメドが立ってはじめて、北米のシェールガス・オイル開発と同様、民間企業による事業参入、生産拡大が進むことになる。
今はまだ試験生産の段階であり、生産コストを見積もることは難しい。08年当時、JOGMECの推定で当時の日本のLNG輸入価格の3~5倍とも言われたが、データが古く、信頼性は低いとされる。
今回成功した試験生産では、約6日間にわたり生産が行われ、累計のガス生産量は約12万立方メートル程度だった。1日当たりの生産量は約2万立方メートル。ちなみに、08年に日本とカナダの国際共同研究としてカナダ北部の永久凍土層で行われた陸上産出試験(今回と同じ「減圧法」による生産)では、生産期間は5.5日間で1日当たり約2400立方メートルだった。量だけの比較では9倍に上る。
茂木敏充経産相は、今回のガス生産について「想定したよりも出ている」と述べ、今後の開発に期待を示した。ただ、当初は約2週間かけて試験生産を行う予定だったが、水をくみ上げるポンプの不調や、ガス産出用井戸に砂が混入するトラブルもあって、1週間で生産を打ち切っている。今後、今回の試験生産結果の解析を行い、「今夏には生産コストについての一定の試算が出せる見込み」(南亮・資源エネルギー庁石油・天然ガス課長)という。
民間企業による商業生産のメドは立たず
今のところ民間企業参入による商業生産の時期は見通しにくい。国では、東部南海トラフ海域における開発計画において、18年度を目途に商業化に向けた技術の整備を実施することを目標に掲げているが、18年度時点ではまだ商業生産は困難と見られる。
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