コーヒーで「健康になる人」は遺伝子が違う!

カギを握るのはカフェイン代謝

それなら自分がカフェイン代謝の高活性型か低活性型か知りたい。最近は手頃な価格で検査してくれる遺伝子検査会社が増えているから、急いで調べてもらおう――そう思う読者もいるかもしれない。

だが、それは待ったほうがいいと、ノースウエスタン大学医科大学院のマリリン・コーネリス助教は考えている。彼女の研究によると、カフェイン代謝には多くの遺伝子が関係しており、1〜2個の遺伝子にだけ注目すると、あとでがっかりすることになりかねないというのだ。

「カフェインの代謝には明らかにほかにも遺伝的・環境的要因が関係している。既存の検査ではその要因が把握されていないだけだ」。

スポーツ選手に与える影響は

それでも、コーヒーと遺伝子の関係が明らかになるにつれて、新しい研究領域が生まれているのは事実だ。現在、コーヒーと乳癌や卵巣癌、2型糖尿病、さらにはパーキンソン病との関係が、CYP1A2などの遺伝子多型によって影響を受けるのかを調べる研究が進んでいる。

カフェインが運動に与える影響についても、新たな注目が集まっている。カフェインが運動能力を高めることは周知の事実だが、ジェームズ・マディソン大学のクリストファー・J・ウォマック教授(運動生理学)は、カフェインの代謝が速い選手が、持久力を要求される種目をすると、その恩恵はより大きくなると指摘する。

ウォマックの研究チームは2012年、カフェイン錠と偽薬を使って男性サイクリストに与える影響を調べた。カフェイン錠を摂取した選手にサイクリングマシンで40キロ走ってもらったところ、低活性型の選手は記録が1分縮み、高活性型の選手は4分も縮んだ。これはカフェイン錠が、高活性型の人の交感神経系(いわゆる攻撃・逃避反応をつかさどる部分)を活性化するからだと、ウォマックは考えている。

一方、ノースウエスタン大学のコーネリス助教らの研究チームは2015年、コーヒーを飲みたいと思わせる8つの遺伝子多型を特定した。このうち少なくとも2つは、カフェインの心理的な報酬効果と関係している。

コーヒーがないと1日が始まらないという人もいれば、いれたてのコーヒーにまったく魅力を感じない人がいるのは、こうした遺伝子のせいかもしれない。

(執筆:Anahad O’Connor記者、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service
 

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