国債の大規模購入と財政政策の危険な関係

米国でもリスクを警告する論文が話題に(日銀ウォッチャー)

上下院の議員から責められ続けたバーナンキは、「今はリスク・フリーの金融緩和策は存在しない」と答弁した。実際、“QE2 ”以後の政策は、FRBに言わせれば、利益と副作用の「比較考慮テスト」をパスしたものが選ばれてきている。副作用がある程度起き得ることはFRBも前提にしているのだが、共和党系の議員はその比較考慮の判断が間違っているのではないかとの疑念をぶつけている。

しかし、最近の日本では大胆な緩和策に弊害はないかのような議論が中心になっており、米国に比べると明らかに「1周遅れ」の状態になっている。

なおバーナンキは上院で、次のように述べた。「FRBがかつてこれほどの資産を持った経験はない。しかし、日銀など海外の中央銀行もやっている。日本の今の首相は日銀のやり方は不十分だと言っている」。意訳すれば、「もっとやろうとしている国があるのだから、このぐらいいいではないか」というニュアンスがその発言に暗に含まれていた。

一時期のバーナンキは、金融緩和策の限界に言及する頻度がやや増えていたのだが、最近は、日本での「日銀はバーナンキを見習え」という議論の高まりがフィードバックしたらしく、彼の発言のトーンは微妙に変わってきている。しかし、今後、日米双方とも、相手の動きを口実にしながら「もっと緩和してもいいはずだ」と判断がエスカレートしていくことには危うさがある。

超金融緩和策の長期化で米国に生じたユーフォリア

先日アメリカに出張したのだが、同経済は確かに回復基調にあると感じられた。金融危機から今年で5年経つためバランスシート調整が進展している家計・企業が増えてきたこと、住宅市場の底打ちが人々のマインドを明るくしていること、GMを筆頭とする米自動車産業が復活してきたこと、シェールガス・ブームなどでエネルギー関連の雇用が増加していること、中南米経済の成長が巧みに取り込まれていること、などが効いている。

また、ベースとして、アメリカでは労働年齢人口(15~64歳)が他の先進国とは異なって今後も長期的に着実に増加していくため、時間が経つと自然と住宅への実需が湧いてくる点が日本とは決定的に異なっている。

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