国債の大規模購入と財政政策の危険な関係

米国でもリスクを警告する論文が話題に(日銀ウォッチャー)

日本の場合も、日銀が国債をこれからさらに大規模に購入していくことを契機に財政規律が一段と緩んでしまうようなことがあると非常に危険である。このため、資産買入等基金による国債買い入れと“輪番オペ”の統合を行う際は、利益と副作用の比較考慮および、副作用をできるだけ抑える手段の検討を念入りに行うべきである。

黒田新体制の下、日銀は4月の1回目の金融政策決定会合(3~4日)を待たずに、3月中に臨時会合を開くのではないかとの観測が市場では根強くある。その可能性は否定できないものの、就任からあまりに時間がないタイミングでの臨時会合で拙速な判断を行うよりは、本来は議論に時間をかけるべきではないかと思われる。もっとも、株式市場、外為市場は催促しているため、遅くとも4月4日までには「大胆な緩和策」の第一弾が発表されるだろう。

デフレと低い長期金利は均衡している

日本の場合、もし日銀が短期間で人々のインフレ予想を大幅に引き上げることができたら、それは良いことだけではなく、様々なトラブルも招き得ると考えられる。日本人はおよそ過去30年、欧米のような物価上昇を経験しておらず、それに応じた「均衡」が各所で形成されてきたからである。

その代表例は長期国債だろう。近いうちに2%のインフレになると多くの人が信じるなら、0.6%台の10年国債は誰も買おうとしないので、国債の金利は急騰する。

債券市場の多くの参加者は、株式市場や外為市場と異なって、当面は2%のインフレ目標の実現は不可能だとみなしている。インフレ連動債に織り込まれているブレイク・イーブン・インフレ予想が上昇してきていると言われているが、それは来年4月の消費税引き上げが織り込まれてきたことの反映である。

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