「レールガン」とは一体どのような兵器なのか

200キロ先へ弾丸を飛ばす電磁兵器の威力

そして米海軍は2014年4月に、「レールガンのプロトタイプをJHSV(Joint High Speed Vessel)に試験搭載する」と発表した。JHSVはその後にEPF(Expeditionary Fast Transport)と改称した、双胴型の民間フェリーをベースとする高速輸送艦だ。広い貨物搭載スペースと甲板を備えていることから、レールガンを載せるのに都合がよいと判断したのだろう。

ただ、この発表が行われた時点では、「2016会計年度(2015/10/1~2016/9/30)の間に試射を実施する」とのことだったが、まだ試射に関する報道はない。

こういった動きとは別に、ゼネラル・アトミックス社が陸上設置型のレールガン「ブリッツァー」に関する研究を進めている。こちらは、2015年12月初頭にユタ州のダグウェイ実験場で砲の制御に関する試験を実施したところ。実射はまだだが、出力3MJだというから、海軍のものと比べるとスケールは小さい。その分、実用化に向けてのハードルは低い。

戦術的な利点と課題

では、従来の火砲にないレールガンの利点とは何だろうか。

大きな違いは「高速・長射程」である。つまり、敵から反撃される可能性が少ない遠方から迅速に攻撃を仕掛けることができる。レールガンの弾は炸薬を内蔵しないので、それ自身が持つ運動エネルギーで目標を破壊する。弾のサイズや重量が小さくても、高速で撃ち込めば相応の破壊力を発揮できる。

ただし、前述したように、レールガンを製作して弾を発射するところまでは開発が進んでいるものの、それを実用に耐えられる武器として実現しようとすると、まだ課題はいろいろある。

その中でも最大のものが電力供給だ。たとえば出力64MJのレールガンを実現しようとすれば、供給しなければならない電力がそれを下回ることはあり得ない。しかも瞬間的に弾を撃ち出すものだから、その大電力を瞬間的に供給できなければならない。

だからレールガンの実現に際しては、蓄電システムが不可欠になる。電力を貯めておいて一気に放出するわけだ。先に言及した2008年1月の試射では、発射に先立ち4分間のチャージ作業が必要になったという。1発撃つのに4分間のチャージが必要になるのでは、連射どころではない。そこで、L-3社やレイセオン社などがレールガン用の電力蓄積・供給機材の開発に取り組んでいる。

その蓄電を行うには、まず充分な電源供給能力がなければ始まらない。米海軍ではレールガンの艦載化を考えているが、ただでさえ最近の軍艦は電力消費量が増える傾向にある。そこにレールガンを載せることになれば、さらにケタ違いの電力供給能力が求められる。

次ページ電力を確保するために必要なこと
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