国と東電を提訴、住民1650人が決起 過去最大規模の原発被害訴訟
不安消えぬ母親たち
「子どもを放射能から守るママの会」の発起人となった菅波さんは、その後1カ月で8768筆の署名を集めて市役所に提出。放射線量の測定やガラスバッジの配布など5項目にのぼる要求を実現させた。しかし、目に見えない放射性物質に不安は尽きず、「子どもが熱が出した、ノドが痛いというだけでびくびくする」という。
今回のいわき訴訟で原告は、損害賠償だけでなく、国と東電による新たな政策の実行を求めている。その一つが、子どもが健康を維持し、万一病気にかかった場合でも安心して治療に専念できるための公的な支援策だ。
「いわき市には原発事故直後に高い濃度の放射性ヨウ素が拡散した可能性が高いことを、子どもを持つ母親たちは知っている」と伊東さんは指摘する。「だからこそ、子どもの甲状腺被ばくを心配する母親の思いには根拠がある。『原発事故による甲状腺がん発症は考えられない』ことを前提とした現在の県民健康管理調査では信頼は得られない」(伊東さん)。
訴訟では、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の予測データ公表の遅れなど原発事故後の国の不作為についても、厳しく問いただしていくという。その道のりは平坦ではないが、国や東電は法廷で説明責任を問われることになる。
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