国と東電を提訴、住民1650人が決起

過去最大規模の原発被害訴訟

『原発事故に迫るⅡ 過酷事故の被災地福島から』と題した自著(自費出版)で伊東さんは事故についてこう記述している。

「今回の事故は、申し入れ書で指摘したどおりに進んだのであって、文字どおりの人災であった。清水正孝社長(当時)がはじめて国民に謝罪した会見で『自然の驚異とはいえ』と前置きしたが、自然に責任を押しつけようとする態度であって不誠実このうえない間違いであることは歴然としている。幹部職員が『想定外であった』とも繰り返しているが、『想定しようとしなかった』のである」

想定外という不作為

その伊東さんら822人(366世帯)のいわき市民が、「あの日」からちょうど2年後の3月11日、福島地方裁判所いわき支部に損害賠償請求訴訟を起こした。国と東電を被告とし、過去2年および今後1年の損害額の分として、約13億4600万円の支払いを求めている。原告は0歳から89歳までに及び、18歳未満の子ども148人や事故当時の妊婦7人も含む。

原告団長を務める伊東さんによれば、「(1)福島第一原発から30キロメートル圏外の低線量被ばく地域に住む人々による提訴であり、(2)国に政策形成を求める裁判であり、(3)これほど多くの集団による提訴であるという点で、おそらく全国初の原発事故訴訟になる」という。水俣病や名古屋の大気汚染など全国で公害訴訟を闘ってきた住民も支援に駆けつけた。

原告は原発事故を「わが国史上最大にして最悪の公害」とみなし、いわき市全域の空間放射線量を事故前の水準に戻すことや、廃炉が完了するまでの慰謝料の支払いを求めている。のみならず、「放射性物質によって汚染されていない環境において平穏に生活する権利」の回復を求めている。東電の不作為を見逃したうえ、事故後の避難に際して適切な情報提供を怠ったことを理由に、国の責任も追及していく。

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