日本でも、中間層の仕事がなくなる?

『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン氏に聞く

グラットン:人材育成が必要というのは同感です。先日のダボス会議でも紹介されましたが、今はインターネット上の教育が台頭しています。ご存じのとおり、欧米の多くの大学は、教材をネット上で公開しています。そのため、再教育にチャレンジしたい人にも道は開かれています。

渡邉:でも、eラーニングだと、実践できない。仕事には知識だけでは不十分で、実践も必要です。

グラットン:当然です。最近のeラーニングでは、グローバルなグループを作り、互いがメンターになる仕組みもあります。それにビル・ゲイツ財団も巨額の寄付をしています。

こんな例があります。パキスタンの11歳の少女が、スタンフォード大学の物理学の講義をインターネットで受講し、トップの成績を収めたのです。これは世界中の人が、どこにいても学習できる好例です。

渡邉:ただし、それは先進国の人にとっては脅威でもある。40歳の人がキャリアの途中で新しい専門技能を身に付け、次のキャリアに進む成功例は、世界でも少ないはずです。二つの仕事を生涯で身に付けるのは、これまでの人生より2倍大変です。

日本人と欧米人では、仕事観にも違いがあります。先日フランス人と話していたら、「ジャスト・ア・ジョブ」つまり「たかが仕事」という話をしていました。その価値観で2倍仕事をしなければならないのは、むしろ気の毒です。

グラットン:確かにそうです。この動きは、英国にとっても手放しで喜べる話ではありません。かつては英国生まれ、日本生まれという立場だけで、優位性がありました。われわれの子どもの世代には、そうした優位性はなくなります。

これはつらいことですが、現実です。それを受け止めるか否定するかという話です。

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