白川日銀、最後の会合で起きた「異変」 「黒田新体制」へ地ならしが始まった?
4月会合で各委員の金融緩和へのスタンスが明らかに
だが、白井委員の「統合提案」は日銀券ルールをなし崩しにするものだといえる。今会合の議事要旨が公表されるのは1カ月後だ。議論の詳細は不明だが、従来一度も提案しなかったことを、なぜ、このタイミングで出してきたのか。
わかりやすい伏線がある。4日の所信表明後の質疑で、みんなの党の浅尾慶一郎議員から日銀券ルールの在り方について問われた黒田東彦氏(アジア開発銀行総裁)は、「当然、検討対象になると思う」としたうえで、「既存のルールや仕組みを前提にして、いっさい変えないという範囲内でやるのでは、大胆な金融緩和にならないと思っている」と述べた。
翌日、同じことを浅尾議員から問われた岩田規久男・学習院大学教授も「FRB(米国連邦準備制度理事会)は日銀のような制約(日銀券ルール)を設けていない。物価安定のために何ができるかという視点で考えていけばいい」と話している。
つまり、白井委員の提案は、新たに政策委員会のメンバーとなる二人が日銀券ルールを絶対視しないスタンスを示したことを受けた”地ならし”ともみれる。しかしながら、この提案に賛成した政策委員はゼロ。結局、賛成1、反対8で否決された。
次回の決定会合は黒田新総裁のもとで4月3~4日に行われる予定だ。はたして、白井委員は日銀券ルールを葬り去るに等しい提案を次回会合でも行うのか。それのみならず、積極的な金融緩和論者である黒田氏と岩田氏がメンバーとして入る。白川体制のもとで議論を交わしてきたほかの政策委員は、「大胆な金融緩和」(黒田氏)の提案がなされた際、賛成・反対のいずれに票を投じるのか。これまで、追加の金融緩和は全会一致で決まることが多かった。しかし、今後は必ずしもそうはならず、各委員の金融緩和へのスタンスの違いが鮮明になりそうだ。
(撮影:尾形 文繁)
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