「羽田新線」に財政投融資という仰天アイデア 安倍「経済対策」はリニアへのメリット乏しい
報道では財投を使った貸付けの場合、JR東海が想定している3%の金利に比べると、返済期間40年の合計で金利負担は3兆円以上軽くなり、これによって、名古屋―大阪間の工事着工時期を最大8年前倒しできるという。
ただ、JR東海が想定している金利3%は計画を策定した2010年当時の金利水準をベースにさらに慎重に見積もった水準。現在の金利水準ははるかに低い。 たとえば、JR東日本が7月に調達した30年債の金利は年0.39%。40年債の金利は年0.5%だった。JR東海もJR東日本と同じく国内トップの高格付けを取得しているため、今借り入れを行なうなら同程度の金利水準で調達可能だろう。つまり財投による金利縮減効果はごくわずかしかない。
ではJR東海にとって、財政投融資による借り入れを行なうメリットはどこにあるのだろうか。あるJR関係者は「3兆円もの資金を民間から調達するのは困難。政府の申し出はJR東海にとってありがたいはず」と解説する。他方、「金融機関はどこもカネ余り。優良な大型案件はのどから手が出るほど欲しい」(金融担当記者)という見方もある。たとえば、みずほ銀行はソフトバンクグループに英半導体開発大手アーム・ホールディングスの買収資金として、つなぎ融資とはいえ1兆円を貸し出す。
売上高と比べた有利子負債も巨額に
とはいえ、長期債務残高が5兆円というのは「残高のレベルが大きいだけでなく、売上高に比べて突出した水準」とJR東海自身が認めている。2016年3月期に金融機関以外で有利子負債残高が5兆円を超える企業はトヨタ自動車、ソフトバンクグループ、日産自動車、東京電力ホールディングス、ホンダの6社しかない。
たとえばトヨタ自動車の有利子負債残高は18兆2931億円もある。しかし売上高は28兆4031億円で、有利子負債残高を大きく上回る。それ以外の5社については、売上高と有利子負債残高がほぼ同水準の東京電力ホールディングスを除き、各社とも売上高が有利子負債を大きく上回る。
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