「褒める仕組み」を作ると人は劇的に伸びる

ANAの「グッドジョブ・カード」が凄い

効果的だったのが、極力たくさんの人がいる前で褒めるという方法でした。褒められた当人は、みんなの前で褒められればモチベーションが高まりますし、今後はみんなの模範になるという動機も得られるはずです。また、それを聞いている人たちも「自分も見習ってがんばろう」と刺激を受けます。

一方で、悪いところに気づいたらそれをきちんと伝えて、何故そうしたのか話を聞き、アドバイスをしなければならない状況もあります。相手にアドバイスするときは、相手を部屋などに呼んで、「個別に」話すのです。勤続20年以上の、ボーイング777型機のある機長は副操縦士にアドバイスをする際、次のようなことに気をつけています。

「フライト中、その場で直してもらわなければならないことはすぐ指導しますが、それ以外のアドバイスはちょっとメモを取ったり、覚えておくようにして、飛行機を降りてからのミーティング(デブリーフィング)でまとめて伝えていました。飛行中は都度都度のアドバイスによって、相手を緊張させてしまったり、萎縮させてしまうことのないようにするのです」

褒める文化を生み出す「グッドジョブ・カード」

「がんばる→褒める→がんばる」のサイクルを回していくために効果的だったしくみに「グッドジョブ・カード」があります。お互いの仕事のよいところや、感謝や励ます気持ちなどを「グッドジョブ・カード」に書いて贈ります。

カードだったら、面と向かっては言いづらいことも伝えやすくなります。これがうまくいき、ANAの「褒める文化」は定着していきました。

ANAには気づいたことをその場で口に出す「おせっかい文化」がありますが、同様に、グッドジョブ・カードも、社員が「今の行動いいな」と思ったら、なるべくその場で書くようにしています。そして、渡すときには、多くの社員がいる場で、という心がけもあります。

例えば、フライト中に気づいたいいこと(グッドジョブ)を休憩時間にカードに書いておき、所属の空港に戻ってきた際のミーティング(デブリーフィング)時に渡します。その際はクルーだけでなく、周囲にいる管理職にも集まってもらい、みんなで拍手を送ります。

「グッドジョブ・カード」を贈ることによって、

・褒められた人が、周りから「いいことをしたね!」と称讃される
・褒めた人が、周りから「いい発見をしたね。よく見ているね」と認められる

この両方の効果が期待できます。

次ページ褒めるのは「善意」ではなく「技術」
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