本当に強いチームはPDCAの徹底を妥協しない 元パナソニック役員が導いた甲子園への道
ではなぜ、PDCAサイクルを回すことが高校野球でも大切なのでしょうか。その理由をひもといてみましょう。拙著『まんがで身につくPDCA』で詳しく解説していますが、そもそもPDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことで業務を改善していく手法です。個人であれ組織であれ、変化が激しい現代において成長を続けていくためには、「今までどおりに」やっているようではいけません。つねに考察を入れながら、絶えず改善をしていくことが極めて重要なのです。
「改善をしていく」という意味では、対象がビジネスパーソンであれ、高校野球の球児であれ、PDCAサイクルを実践することは等しく有効だと言えるでしょう。
実際の鍛治舎監督の指導方針は、「選手に夢を抱かせ、“目標は達成できる”という気持ちにさせる。そのために必要なことを数値で示す」ことだそうです。そして、目標を達成するために、計画→実行→評価→改善の4段階を繰り返すことを指導に取り入れているわけです。
具体的にどのようなことをしているかと言いますと、まずポジション別にリーダーを決めます。そして、そのリーダーがメンバーの目標達成のための「計画」と「実行」の結果を「評価」します。そうすることで、レベルアップするための「改善」ポイントを考えるようになっていくのだそうです。
「レギュラーをとる」ためのPDCAサイクルとは
たとえば、ある控えメンバーが「3年の夏の地方大会までにレギュラーメンバーに入る」という目標を立てたとします。目標を立てても、ただ漫然と練習をしているだけでは当然レギュラーにはなれません。そこで、この選手がPDCAサイクルを回して目標の達成を目指すとしたら、次のようなプロセスをとっていくことになります。
<Plan>計画
・同じポジションのレギュラーメンバーは打率が2割8分で自分より上だ
・最低でも打率をレギュラーと同じ2割8分までに上げ、強みである守備と走塁で上回らなければいけない。そのためには以下のことをやっていこう
・「特打」の実行。素振りを現状より100回増やす
・打撃、守備、走塁の順で練習量に差をつけていく
・守備がおろそかにならないよう、週1回は守備の集中練習を行う
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